再現しない幹細胞研究があるために、体細胞研究に対する目が厳しくなってきているというNature記事を読みました(Nature, 先週号の485ページ、記事のタイトルはThe hard copy)。まず、指摘されているのが「神経幹細胞が造血細胞に分化転換する」という論文は、再現しないという。分化転換するかもしれないが頻度は極めて低く、医療に使用できるレベルではない。稀にしか分化転換ぜず、それも試験管内における遺伝子レベルでの変化によるという。その次が、先週も書いたVerfaillie博士のMAPC論文。MAPCは増えない。存在そのものも怪しい。ただし、再現したっていう、有名な研究者のラボからも追試論文もあるという。Jaenisch博士の「部分的には再現しない」という遠慮した言い回しが、Verfaillie博士の論文の疑わしさを増加させる。先週の繰り返しになってきたが、私は怪しいと思う。
この手のことに対する、自分の基本方針は「ほっとく」ことであり、関わらないことである。常識的に怪しい論文や余りに良すぎる研究発表は、疑うことからスタートする。その基準は、常識という何とも抽象的なことになっています。
Tuesday, June 26, 2007
The hard copy---幹細胞研究の一部は再現しない---
Thursday, June 21, 2007
MAPC
コメントしていただいたNatureの記事を読みました。
2点あります。幹細胞研究で再現できていない論文が多いことにより、この分野が信じられていないこと。Verfaillie博士のMAPCについて、生体に移植したときの多分化能と試験管内での増殖能が再現できないこと。
MAPCに関してです。多分化能は実際に実験が行えないので(MAPCと思われる細胞は増えないので)、分かりません。その一方、試験管内の増殖能に関する他の研究者のコメントは、同感です。全ての条件を論文にあるとおりにしても増えません。学会での発表やその場でうかがったとおりの方法でも増えません。ふたつの論文で図が重なっていたのは、ミスだということらしいが、もうMAPCに関する議論は、重要な点は再現しないで考えるのが実際的である。議論しても仕方がない。どうしてもMAPCにかかわりたければ、実験を開始したり、続ければよい。そうでなければ、関わらないのが得策である。いくつかの研究室から再現できたという論文が出ているが、他に読む論文があるでしょう。調査委員会の正式な発表やこのような調査記事を読めばそれで足りる。一言では、「信じられないけど、非難できるほどのデータも持っていないので、ほっちっち。」 研究費も時間も研究者も、大切で、MAPCにはたずさわる勇気はない。
記事にかかれているが、MAPCが公開されて誰でも使用可能になったならば、私も始めることにしたい。
骨髄間質や間葉系幹細胞の研究をやっている方は、必読の記事です。そういう私もコメントで初めて知ったのですけど。ありがとうございます。
2点あります。幹細胞研究で再現できていない論文が多いことにより、この分野が信じられていないこと。Verfaillie博士のMAPCについて、生体に移植したときの多分化能と試験管内での増殖能が再現できないこと。
MAPCに関してです。多分化能は実際に実験が行えないので(MAPCと思われる細胞は増えないので)、分かりません。その一方、試験管内の増殖能に関する他の研究者のコメントは、同感です。全ての条件を論文にあるとおりにしても増えません。学会での発表やその場でうかがったとおりの方法でも増えません。ふたつの論文で図が重なっていたのは、ミスだということらしいが、もうMAPCに関する議論は、重要な点は再現しないで考えるのが実際的である。議論しても仕方がない。どうしてもMAPCにかかわりたければ、実験を開始したり、続ければよい。そうでなければ、関わらないのが得策である。いくつかの研究室から再現できたという論文が出ているが、他に読む論文があるでしょう。調査委員会の正式な発表やこのような調査記事を読めばそれで足りる。一言では、「信じられないけど、非難できるほどのデータも持っていないので、ほっちっち。」 研究費も時間も研究者も、大切で、MAPCにはたずさわる勇気はない。
記事にかかれているが、MAPCが公開されて誰でも使用可能になったならば、私も始めることにしたい。
骨髄間質や間葉系幹細胞の研究をやっている方は、必読の記事です。そういう私もコメントで初めて知ったのですけど。ありがとうございます。
Tuesday, June 12, 2007
in situにおける、骨格筋マーカー陽性の細胞の割合は?
第7回日仏ワークショップという、骨格筋の専門家達の会で、「月経血由来細胞が骨格筋に」という話をしてきました。発表していると最近は、聴衆者の反応をその空気から感じます。今回は、発表中に汗をかく始末です。質問は、「何でそんなことしたの?」。答えは、「月経血由来細胞や子宮内膜細胞から人工子宮内膜を作成したかったから。」
「RT-PCRでMyoD他が陽性でも、免疫細胞化学では何パーセントか?」「やってないけど、大事だ。やんなきゃだめだけど、おそらく全部が染まるわけではなく、一部がコロニー状に染色されるのではないだろうか。」
専門家達の発表を聴くと、ヒトに反応する抗体に
COx2
Lamin A/C
があることを知った。
CD56=N-CAM
CD133=Prominin-1
筋ジスの患者様の半分は、心不全でお亡くなりになるとのことです。心筋も問題であるとのことです。人工呼吸器に装着している方は70%。だいたい20から35歳でお亡くなりになる。国立病院では、患者数は2000人。
Tuesday, June 5, 2007
間葉系幹細胞の胚性幹細胞化。
間葉系細胞に遺伝子を導入して、胚性幹細胞とした研究で、germ line transmissionに成功したという内容が来週に2報発表されるらしい。体性細胞が生殖細胞になることが現実味を帯びてきた。
写真は、2Bでクラスメートだった沼澤尚(沼沢尚)さんが観戦してくれた時に撮影してくれたもので懐かしい。お礼を言ったっけかな。ありがとうございます。今、息子が志木高におります。
Subscribe to:
Posts (Atom)