クローナルな増殖を示す間葉系幹細胞のマーカーとして、STRO-1, MCAM(MUC 18/ CD 146)、CD105が知られている。造血細胞と異なり、これらのマーカーでソートされないのは訳がある。それは、造血細胞のように個々の細胞がバラバラになっていないだけではない。間葉系幹細胞は、プラスチック皿の表面で増殖する場合は、ソートしたのと全く同じようなマーカーを発現するようになる。接着する段階では、雑多な細胞集団である一方、増殖後は現実的にSTRO-1 (文献1), MCAM(文献2), CD105でソートしたのと同じように均一な細胞集団となり、フローサイトメトリーでひとつのピークとなる。また、マーカーに関しての疑問として、1.これらのマーカーを持った細胞は、生体内でどの部分に存在しているかも、解決されていない、2.間葉系幹細胞が移植した後にその運命はどうなるのか、自己複製と言った観点からも追跡実験されたことがない。骨髄においては、MCAMは骨髄間質(Adventitial reticular cells)をマークする(文献2)。他の組織において、MCAMはペリサイト(周皮細胞)を認識する。多くの組織に存在するペリサイトは骨髄における間葉系幹細胞に相当するのであろうが、非骨髄組織におけるCFU-Fが実際にペリサイトに相当するかどうかは証明する必要がある。ペリサイト生物学が非造血組織における幹細胞であるかどうかは興味深い。
1. Simmons, P.J., Torok-Storb, B.: Identification of stromal cell precursors in human bone marrow by a novel monoclonal antibody, STRO-1. Blood, 78: 55-62, 1991.
2. Sacchetti B, Funari A, Michienzi S, Di Cesare S, Piersanti S, Saggio I, Tagliafico E, Ferrari S, Robey PG, Riminucci M, Bianco P.: Self-renewing osteoprogenitors in bone marrow sinusoids can organize a hematopoietic microenvironment. Cell, 131(2):324-336, 2007.
Sunday, August 23, 2009
MSCマーカー
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