Sunday, May 29, 2011

西野氏のiPSメチル化動態にかかる論文が掲載されました

iPSメチル化動態に関する、西野さんの論文がPLoS Geneticsに掲載されました。内容はiPS樹立にかかわるメカニズム解明であり、山中氏が提唱した2つのモデルであるエリートモデルと確率モデル(Nature, 460:49, 2009)のうち、確率モデルが正しいことをエピジェネティクス動態から明らかにしました。iPS細胞になれるかなれないかは、確率的メチル化動態によって決まるということです。エリート細胞のみがiPS細胞になれる訳ではなく、確率によって細胞リプログラミングの運命は左右されることになります。山中4因子に依存しないフェーズでメチル化ダイナミズムは継続し、次々と新たなゲノム・メチル化を生じ、その中で偶然iPS細胞になれるメチル化を生じた細胞のみがiPS細胞になります。また、その波は培養を続けるとだんだんと小さくなって最終的には落ち着き、強烈なメチル化ダイナミズムは跡形もなくなっています。

今回の論文タイトルは、「DNA methylation dynamics in human induced pluripotent stem cells over time」であります。投稿したときは、 Periodic aberrant DNA hyper-methylation in human induced pluripotent stem cells in long-term cultivationであったのですが、内容は全く逆なのに同じようなタイトル(「 Hotspots of aberrant epigenomic reprogramming in human ind
uced pluripotent stem cells」と、「Reference Maps of Human ES and iPS Cell Variation Enable High-Throughput Characterization of Pluripotent Cell Lines」)の論文が今年1月にNature誌、Cell誌に掲載され新聞を賑わせたので西野氏と相談してタイトルを変更しました。それらの論文に書かれているエピジェネティク・リプログラミングにホットスポットはありませんし、親の形質は残ったように見えるだけで実際はほとんど残りません。

 Supplementary materialsは多いので、以下のサイトからダウンロードしていただければ助かります。
http://www.plosgenetics.org/article/info:doi/10.1371/journal.pgen.1002085
もうこの一週間で1130回もダウンロードされているようです。PLoS Genetics のMost visited siteの第二位です。読まれていること自体はたいへんに嬉しいことです。






Thursday, May 26, 2011

K (P)

患者さん (For patients)
国民     (For people)
国民益      (For profit)
公衆衛生益  (For public health)


Monday, May 23, 2011

ddd

In β cells (Zhou et al., 2008) and retinal cells (Osakada et al., 2009), direct reprogramming is achieved with hepatocytes and iris cells, respectively, that are developmentally close to the generated cells. Successful reprogramming with other somatic cells for parental cells indicates that the conversion is indeed reprogramming. Auto-regulatory feedback and feed forward activation of downstream transcriptional regulators reinforce the expression of important cell-fate-determining genes and help to further stabilize the induced  transcriptional program. Robust changes in transcriptional activity can be explained by genome-wide adjustments of repressive and active epigenetic features such as DNA methylation, histone modifications and changes ofchromatin remodeling complexes that further stabilize the new transcriptional network (Zhou et al., 2008). It is possible that certain subpopulations of cells are "primed" to respond to these factors, depending on their pre-existing transcriptional or epigenetic states (Yamanaka, 2009). 


Friday, May 13, 2011

医療法か薬事法か ---

医療法で考えると、骨髄移植や臍帯血移植が参考例になるのではないか。ほとんどの医療費は、患者の無菌室や骨髄アベレーションに付随するものに使用される。もし、今の再生医療もこのスキームでいけば、臍帯血や骨髄のバンクのような活動をしなくてはならない。自己細胞でも一緒と考えられる。

薬事法でいけば、細胞自体に薬価がつく可能性があるから、医療費としてお金という価値が新たにでてくる。

そういった観点からすると、自己細胞移植であったとしても、薬として進めていった方が、患者を含めた医療界の利益が高いと考えられる。

上記の考え方として、異なる進め方の代表は、生殖補助医療であると思っている。

再生医療を考えるときに、造血幹細胞移植(骨髄、臍帯血、末梢血)と生殖補助医療と比較していくと、とても分かりやすくなる。これを再生医療学会誌の巻頭言に(読者に分かりやすく)書けるだろうか。書けないかもしれない。



別のメモ:

 再生医療を行うっていう観点だけからすると、医療法で十分。しかし、医療は継続しなくてはいけないし、それ自体で利益を生み出さなくてはいけない。その観点からすると薬事法だ。
 一方、細胞の準備とか全部を院内製剤という観点からすると、薬事法として、薬価を付けないととてもやっていけない。自己細胞でも、医療法にしたら、手術代だけしかつかないので、どの企業も手伝ってくれないかも。手伝ったとしたら、そのCPC運営にかかる費用を病院に請求できるのか。できないだろう。

 再生医療を行うっていう観点から見ても、薬事法で行くことは正しい選択である(可能性がある)。

 自己細胞再生医療法を立法しようとする場合は、どうすりゃいいんだ。自己細胞なんだから薬事法とのからみがあるが、どっちにしろ利益を生み出すような仕組みにしなくては、ダメと言うことは間違いない。