Monday, January 9, 2012

細胞は複雑系

休みの日に研究室の諸君に大集合をかけた。仕事をしている過程で、ずっと思っていた疑問をYT氏が解いてくれた。結論は、当たり前のようなことで「細胞は複雑系」なんだということ。だから、シミュレーションの精度が極端に低く、化学反応や流体のようにはいかないって話。当たり前で恐縮なんだけど、工学系に使用される素材は(生物系に比較すれば)複雑ではない。コンピュータのチップなんて複雑じゃないかと反論したら、見た目はとても複雑だけど個々の素材とは構成物は比較的単純。比較の問題。

ひとつの分子に注目するか、細胞という構造体に注目するかで、複雑度は極端に変わる。抗体だって、構造自体は複雑だけど、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマに比較すればひとつの蛋白質なので、管理しやすい。製造だって簡単。それに対して、細胞って複雑で論文にも統計処理をしないとデータがとれないこともある。そのp値も高いよね。

そうだ。p値の問題だ。そうなんだ。疑問が解けちゃったな。みんなは知っていたことかもしれないけど。疑問が解けてなんか嬉しい。

目的の細胞への分化だって、確率論で語られるし、遺伝子変異の表現型にしたって、確率論だ。浸透率なんてその最たるもの。その確率的頻度が細胞では、確からしさの値が低くても問題にならない(なるという方は多いんだろうけど、他の分野に比較してってことです)。考えてみると、細胞より、個体の方が複雑だな。

全てのものは物理理論で決められていることは疑う余地はない。でも、それが複雑になってしまうのは、要素が多い。それだけのこと。細胞には無視できない要素が多すぎ。変な感じだけど、宇宙の話なると単純な感じがするのに、地球の話になると複雑な感じがする。

YTさん、ありがとう!! その筋の専門家には怒られるだろうなと指摘されたけど!! 単純なもんかって。あくまで、比較です。比較の問題ですし、ある部分の話です。だからどうしったっていう話です。でも、とてもすっきりしたのは事実です。

宇宙         versus  細胞
テレビやコンピュータ versus  細胞
化学物質、薬     versus  細胞
抗体         versus  細胞
細胞         versus  脳・生物体

極論すれば、「一般的に!!」見たい現象(検証したい現象)に注目すると、宇宙より地球の方が複雑な感じがする!!

疫学が、今ではビッグジャーナルで君臨している。他の学問がリサーチクエスチョンのレベルが相対的に低くなったのかな。p値は決して高い訳ではないと思う。




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