Tuesday, May 4, 2010

皮膚の細胞治療

 培養表皮、培養真皮及び複合型培養皮膚(培養皮膚)の開発が進められ、重症熱傷及び難治性皮膚潰瘍の治療に用いられている。その作製にはフィーダー細胞としてマウス由来3T3細胞や培養液にはウシ血清等、動物由来成分を使用している。

1)培養表皮
 自己表皮から採取した角化細胞をマウス由来3T3細胞をフィーダーレイヤーとして用い、培養して薄いシート状にしたものである。自己培養表皮は米国ではEpicel(GengymTissue Repair社)、欧州ではCellActive Skin(IsoTis NV社)、我が国ではジェイス(J-TEC)が製造販売承認されている。

2)培養真皮
 皮膚線維芽細胞をマトリクス上に播種し培養したもので、米国では同種培養真皮が製品化され難治性皮膚難治性潰瘍治療に用いられている(Dermagraft:Science/Smith&Nephew社)。我が国では北里大の黒柳らによりヒアルロン酸とアテロコラーゲンのスポンジ状マトリクスに自己真皮から採取した線維芽細胞を播種して培養したものが作製されている。

3)複合型培養皮膚(培養皮膚)
 培養表皮細胞と培養線維芽細胞を含むもので狭義の培養皮膚と呼ばれている。培養線維芽細胞を含んだコラーゲンゲル上に角化細胞を重層化したものである。自己培養皮膚は欧州で発売されている(Tissue Tec auto-graft system、Fidia Advanced Biopolymers社)。同種培養皮膚はApligraf(Organogenesis社)が米国で発売されている。また、コラーゲンスポンジを足場としたOrCel(Ortec International社)が臨床使用されている。

凝りすぎたイノベーションはほとんど確実に失敗するらしいので、この分野は期待できる。



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