Tuesday, June 26, 2007

The hard copy---幹細胞研究の一部は再現しない---

 再現しない幹細胞研究があるために、体細胞研究に対する目が厳しくなってきているというNature記事を読みました(Nature, 先週号の485ページ、記事のタイトルはThe hard copy)。まず、指摘されているのが「神経幹細胞が造血細胞に分化転換する」という論文は、再現しないという。分化転換するかもしれないが頻度は極めて低く、医療に使用できるレベルではない。稀にしか分化転換ぜず、それも試験管内における遺伝子レベルでの変化によるという。その次が、先週も書いたVerfaillie博士のMAPC論文。MAPCは増えない。存在そのものも怪しい。ただし、再現したっていう、有名な研究者のラボからも追試論文もあるという。Jaenisch博士の「部分的には再現しない」という遠慮した言い回しが、Verfaillie博士の論文の疑わしさを増加させる。先週の繰り返しになってきたが、私は怪しいと思う。

 この手のことに対する、自分の基本方針は「ほっとく」ことであり、関わらないことである。常識的に怪しい論文や余りに良すぎる研究発表は、疑うことからスタートする。その基準は、常識という何とも抽象的なことになっています。



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