Monday, November 24, 2008

Brown fatとWhite fat---これは面白い


Brown fatとWhite fatに関するブログ記事。オリジナル論文を含めて面白い。 

---以下はタグです。  脂肪 Circulation Research cardiomyocyte 上 京都 


Tuesday, November 18, 2008

臨床研究に対する薬事規制

 極めて興味深い論文のリプリントを頂戴したので、一部を抜粋し、語尾を改変した。元論文は、生体医工学 46(3): 338-341, 2008です。抜粋ですので、ニュアンスが変わっているかもしれません。薬事法を監視しているのは、監視指導・麻薬対策課(監麻課)だそうです。

 薬事法では、必要な許可を受けた者だけが承認を受けた製品だけを「製造販売」することができるとしている。必要な許可、承認を受けずに製品を「交付」できる特例が治験である。治験の定義は、「第14条第3項の規定により提出すべき資料のうち臨床研究の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施をいう」となっていて、要約すると「薬事承認申請のための臨床試験」である。

 薬事法では未承認の医療機器を用いる、治験以外の臨床研究を想定せず、これを禁止していることになります。

 薬事法では、医師が未承認の医療機器を自作する権利、入手して使用する権利の規制はしていません。従って医師の自作の医療機器、海外からの個人輸入した医療機器であれば未承認であっても臨床研究が可能です。整理すると、治験以外の臨床研究では、1)国内企業の試作した未承認の医療機器は使用不可、2)海外企業の提供する国内未承認の医療機器は個人輸入で使用可能、3)医師の自作品は薬事法の規制対象外なので使用可能、ということになります。たとえば、治験での交付を除き、国内で稼働しているda Vinciは個人輸入によるものと思われます。

 国産技術の臨床成果として新聞報道されたところ行政指導で薬事法違反を指摘されて、続けられなくなった事例があります。

 医療機器として売られていない物(金物屋の金槌)も、臨床研究に用いられたといって直ちに販売者が薬事法違反になることはない。

 ここからは抜粋ではありません。医療機器で売られていない物を臨床研究に用いることは薬事法違反ではないんだ。ただ、最後まで医療機器でないと言い続けることができるのだろうか。再生医療で言えば、再生医療で使う機器が医療機器で売られていないと言い、ヒト幹指針に申請すれば、医師法の元で臨床研究できる。今、ヒト幹指針の委員会に提出されている臨床プロトコールの中で使用しているデバイスは薬事法違反にならないのかなあ。どんなものが申請されているのであろうか。


Friday, November 14, 2008

iPS細胞を利用した医療の良いところ

 iPS細胞は、ES細胞と同様の分化能を有していると考えられることより、その分化能は多岐に渡る。ヒトES細胞にて確認された分化形質は、神経、心筋、血液細胞、軟骨、骨、平滑筋、上皮があげられる。ヒトES細胞は、欧米、アジア、豪州にて樹立されているが、iPS細胞は日米にて樹立が確認されている。iPS細胞が医療において治療薬として期待されているのは、その多分化能のみならず、自分自身のES細胞を極めて低侵襲に作成することができるためである。例をあげれば、自らの口腔粘膜を生検し、試験管内で増殖させ、万能化させる(4因子を加える)ことにより、自分自身のES細胞(万能細胞、iPS細胞)を得ることができる。自分自身のiPS細胞を得ることのメリットは、自分自身の細胞であることより、HLAが一致しており、免疫拒絶のない細胞移植が可能となることである。

 iPS細胞が樹立できることが発見される前は、自分自身の体細胞の核を取り出し、卵子に入れることでES細胞を作るクローン技術法または核移植法が自分自身のES細胞を作り出す唯一の手段であった。このクローン技術法は、残念ながら卵子の入手が困難であること、クローン人間を作出する方法と一部同じであること、ES細胞同様にヒト生命の萌芽を滅失することから、倫理的な面からもむずかしい。また、技術的にもヒトでは、マウスや牛とは異なり、クローン技術法を用いてES細胞の作成に成功したという報告はない。クローン技術法に変わる方法として、自分自身のES細胞を得るためにiPS細胞の発見は大きい意義がある。

 iPS細胞を得るためには体細胞を培養し、因子を導入し、コロニーを単離する作業が必要となり、どんなに少なく見積もっても2ヶ月は最低時間が必要となる。この2ヶ月という期間は、疾病にかかった患者がiPS細胞を用いて再生医療を受けたいと思ったとしても自分自身のiPS細胞を得るためには2ヶ月以上待たなくてはいけないことを意味している。これは急性、亜急性の疾病では意味をなさないので、前もって様々なHLAの型を有したiPS細胞を作成しておき、バンク化しておくことが考えられる。細胞をバンク化して共通の供給源とするという発想は、臍帯血バンクでの成功例があり、将来の興味深い課題として残されている。また、iPS細胞を用いた再生医療が普遍的な一般の医療になるためには、医療界が産業界と協調することが必要不可欠である。



Thursday, November 13, 2008

平成19年度特許出願技術動向調査報告書

 平成19年度特許出願技術動向調査報告書に記載されている、幹細胞技術の概要が平易にまとめられている。幹細胞技術は、要素技術と応用産業に分けられる。要素技術には、「新規な幹細胞」、「分離・精製・増殖・保存」、「分化制御」、「細胞解析」、「細胞改変」のための技術が含まれる。一方、応用産業には、「再生医療・細胞移植」、「創薬・診断」、「有用物質生産」、「クローン動物関連」での幹細胞の利用が含まれる。この分類は、幹細胞技術を考える上で便利である。


基盤要素技術から出口を探る---出口が最初にありきじゃない---

 幹細胞に関する基盤技術を組み合わせることにより、再生医療がシステム化されることは間違いない。その一方、すばらしいレベルの高い基盤技術が実際の再生医療と中にうまくフィットしない場合がある。特定の疾患に対して有効な基盤技術を開発しようとするのは困難が伴うことが多いと個人的に感じている。一方、幹細胞基盤技術から出発すれば、そのレベルが高い場合、その有用性がどの疾患に対する再生医療に最も有効かという出口を見つけることは成功の確率を上げる。それには、医師の知識、経験がある人に真剣にコミットして貰うことが好ましいと思っている。これは経験に基づいた「土地勘」の有無と考えていただきたい。また、対極の話になってしまうが幹細胞基盤技術の物理的メカニズム、化学反応、薬理作用を理解できるかどうかは、医薬品・医療機器として承認・上市する際に大切になってくると思っている。レベルの高い基盤技術が、応用産業に進まずに宙に浮いた状態にあるのは残念だ。要素技術と応用産業を俯瞰できる目利きを利用するべきである。さらに、要素技術をシークエンチャルに並べて、応用産業化できる能力が、幹細胞技術を医療の最前線の現場に持ってくる際に必要となる。



Sunday, November 9, 2008

Wikipedia 骨髄

Wikipediaの骨髄に関する項目から以下の内容が削除されていた。面白い記述なのに。骨髄の脂肪分は美味しいよね。骨髄間質細胞の脂肪である。


== 食品としての骨髄 ==
ラーメン等では「ガラ」として良く煮込みスープのベースとする。moelleとして[[フランス料理]]ではスープや[[ソース (調味料)|ソース]]に用いる他、[[大腿骨]]などを切りオーブンで焼いてプディングの様にすくって食べる。直接骨髄をすすって食べていたと思われ、そのためには長管骨の硬組織を破壊する必要があった。これが人間の進化と関係があったとする説がある。鶏ガラスープなどは 何時間も煮込むとだしが出て非常に美味しいものである。 骨髄の味でもあるのだ。



再生医療に関する治験

再生医療に関して、治験が行われたことは少ない。治験承認が得られたとしても、薬事承認までいく必要がある。また、薬事承認がとれたら、その後は保険収載ができるように申請し、承認しなければならない。このプロセスは金科玉条のように思われているが、このプロセスを全部経なくても再生医療はできると思っている。どこかまで行ったならば、そこで堂々と細胞移植を行えばよい。透明性、公開性をもってして、社会に暖かく迎えられる必要がある。

ただ、このプロセスはIPOを行う会社にとって、必要不可欠なところであろう。皮肉ではないが、投資家に対するデモンストレーションとして必要なプロセスとも言える。