Tuesday, November 18, 2008

臨床研究に対する薬事規制

 極めて興味深い論文のリプリントを頂戴したので、一部を抜粋し、語尾を改変した。元論文は、生体医工学 46(3): 338-341, 2008です。抜粋ですので、ニュアンスが変わっているかもしれません。薬事法を監視しているのは、監視指導・麻薬対策課(監麻課)だそうです。

 薬事法では、必要な許可を受けた者だけが承認を受けた製品だけを「製造販売」することができるとしている。必要な許可、承認を受けずに製品を「交付」できる特例が治験である。治験の定義は、「第14条第3項の規定により提出すべき資料のうち臨床研究の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施をいう」となっていて、要約すると「薬事承認申請のための臨床試験」である。

 薬事法では未承認の医療機器を用いる、治験以外の臨床研究を想定せず、これを禁止していることになります。

 薬事法では、医師が未承認の医療機器を自作する権利、入手して使用する権利の規制はしていません。従って医師の自作の医療機器、海外からの個人輸入した医療機器であれば未承認であっても臨床研究が可能です。整理すると、治験以外の臨床研究では、1)国内企業の試作した未承認の医療機器は使用不可、2)海外企業の提供する国内未承認の医療機器は個人輸入で使用可能、3)医師の自作品は薬事法の規制対象外なので使用可能、ということになります。たとえば、治験での交付を除き、国内で稼働しているda Vinciは個人輸入によるものと思われます。

 国産技術の臨床成果として新聞報道されたところ行政指導で薬事法違反を指摘されて、続けられなくなった事例があります。

 医療機器として売られていない物(金物屋の金槌)も、臨床研究に用いられたといって直ちに販売者が薬事法違反になることはない。

 ここからは抜粋ではありません。医療機器で売られていない物を臨床研究に用いることは薬事法違反ではないんだ。ただ、最後まで医療機器でないと言い続けることができるのだろうか。再生医療で言えば、再生医療で使う機器が医療機器で売られていないと言い、ヒト幹指針に申請すれば、医師法の元で臨床研究できる。今、ヒト幹指針の委員会に提出されている臨床プロトコールの中で使用しているデバイスは薬事法違反にならないのかなあ。どんなものが申請されているのであろうか。


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