Wednesday, May 30, 2012

偉い教授から、インタビューに対するコメント

米国で活躍し、最近すんごい大学の教授に就任した日本人の偉い方からメールを貰った。インターネット上に掲載されたインタビュー(以下のアドレス)に対するコメントで正直嬉しかったです。ありがとうございます。


Wednesday, May 23, 2012

Kaguyaが生まれた秘密

「Kaguya誕生の秘話」の説明を研究室の若い科学者に時間をかけて説明してもらった。

Birth of parthenogenetic mice that can develop to adulthood. Kono T, Obata Y, Wu QNiwa KOno YYamamoto YPark ESSeo JSOgawa HNature 428:860, 2004. 

Protocol for the production of viable bimaternal mouse embryos. Kawahara M, Obata Y, Sotomaru Y, Shimozawa N, Bao S, Tsukadaira T, Fukuda A, Kono TNat Protoc. 3:197, 2008.

上のふたつの論文の話。とてもむずかしかったけど、最後は理解したつもりになった。Kaguyaっていうのは、お母さんの核2つで発生して産まれてきたマウスのことを言う。ParthenogenesisやGynogenetic embryoでは胎仔は産まれてこない。そこで工夫をした。GVのnon-growing oocytesを採ってきて、脱核したGV oocyteにいれ、MII (metaphase arrested) oocyteまで発生させる。その核 (ng spindle transfer) を別のMII oocyteに入れて、2n・2cとする。それを発生させると見事胎仔が産まれる。一つ目の論文ではマウスは H19△13 KOを使用し産まれてくる率は0.05%。2つ目の論文ではH19△13(H19-DMR KO)とIG-DMR KOのダブルKOマウスを用いるとなんと30%の胎仔が産まれてくる。結論は、H19とIGのDMRだけで配偶子形成過程の中で単為発生を防ぐことができるっていう話。私は感動しました。

ポイントは、単為発生とGynogenetic embryoは産まれてこないということを知っていること。

Kaguyaはかぐや姫から来たんだそうな。竹から産まれたわけではないけど、工夫して産まれたかぐや姫。


Tuesday, May 22, 2012

重症心不全に対して (メモ)

メモ

2011年4月 国産埋込型補助人工心臓 LVAD
Bridge to Transplantation: EVAHEART, DuraHeart

埋込型補助人工心臓 保険償還 50例以上/年



Friday, May 18, 2012

ゲノムメチル化 PBAT法 全ゲノムバイサルファイトシークエンシング (WGBS)

WGBSをなんと100ngあればできるんだそうだ。すごい。細胞数で言えば、1万個くらい。

実際には、何度も同じ箇所を読まなければ細胞数で言えば1000個でいけるらしい。すごい。

PBAT (post-bisulfite adaptor tagging)

ヒト細胞ゲノムは、ハプロイドで3.7 pg(ピコグラム)。だから1000個だと 7.4 ng。


右肩上がりの科学

脳科学
疫学(ゲノム、エピゲノム)

別の意味での
がん
循環器
アレルギー


Tuesday, May 15, 2012

昨日の研究会でみた「山中4因子による生体内での奇形腫」

昨日の研究会での発表のひとつにびっくり。

山中4因子をタンデムに挿入し、mCherryで発現を確認できるトランスジェニックマウスでの話。なお、トランスジーンはdoxで発現がON/OFFできるようになっている。飲み水の中に入れているって言っていた。4週間ONにしていると腎臓と膵臓だったかな奇形腫ができるんだって。すごいね。山中4因子で奇形腫をin vivoで作製できるだなんて。

ONにして二週間で、各上皮に異型性が見られた。胆嚢上皮、胃腺上皮、膵管上皮、腎尿細管上皮。今でもその異型上皮の写真を思い出す。膵管上皮の異型・拡張はなんと2週間Dox OFFで消えるって。すごいね。

もうひとつ、すごい話。2週間OFFにして腎臓にWilms腫瘍ができる話。これは、遺伝子の発現がないんだから、新たな変異が加わったか、エピゲノム変異である。2週間ONで、2週間OFFだから、計4週間で生じるんだから、エピゲノム変異だろうって第一発表者が言っていた。同感です。そのうえ、Loss of imprintingがあって、IGF-2なんか(正確には忘れた)の発現が上昇していた。これってすごいよね。山中四因子がエピジェネティクス変異を誘導するってことで、リプログラミング作用があることを意味している。

逆のことを言えば、山中4因子がリプログラミング作用があるということと山中4因子をサイレントにしても腫瘍を発生させる可能性があるという事実はちょっと重い。

論文でゆっくりと読んでみたい発表であった。Knutがかかわっていた。KnutはN氏の友人。


Sunday, May 13, 2012

ダイレクトリプログラミングによる心筋形成

ダイレクトリプログラミングによる心筋形成が注目を浴びている。Gata4, Mef2c及びTbx5の三因子により心筋が形成するのかしないのかは議論のひとつだ。心筋形成は、分化後拍動することよりアッセイ系がクリアな点が良いところ。以下に論文を貼り付けておきます。転写因子で行う心筋形成はin vitro のみならずin vivoで行われている。どちらも拍動がひとつの決め手になっている。拍動しなくてもマーカー分子発現だけでも有効な情報のひとつになるとも思っています。


ひとつ目の論文
MGHのチェン博士らによる総説論文。
A GPS for Heart Progenitor
Cell Lineages
Jolanta Chmielowiec, Yuh-Shin Chang and Kenneth R Chien
doi:10.1038/mt.2011.158
Correspondence: Kenneth R Chien,
Cardiovascular Research Center,
Massachusetts General Hospital, 55 Fruit
Street, Boston, Massachusetts 02114, USA.
E-mail: krchien@partners.org

二つ目の論文
Inefficient Reprogramming of Fibroblasts into Cardiomyocytes Using Gata4, Mef2c, and Tbx5
  1. From the Cardiovascular Research Center, Division of Cardiology, Department of Medicine, Massachusetts General Hospital, Boston, MA (J.X.C., M.K., M.A.D., M.R.-A., S.G., M.C.E., K.R., D.M., S.M.W.); German Heart Center Munich, Department of Cardiovascular Surgery, Department of Experimental Surgery, Technische Universit?t M?nchen, Munich, Germany (M.K., M.A.D.); Division of Cardiovascular Medicine, Department of Medicine, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA (L.W., J.C.W.); Division of Cardiology, Department of Medicine, Duke University School of Medicine, Durham, NC (R.K.); Division of Endocrinology, Metabolism and Diabetes, and Program in Molecular Medicine, University of Utah School of Medicine, Salt Lake City, UT (E.D.A.); Harvard Stem Cell Institute, Cambridge, MA (S.M.W.).
  1. Correspondence to Sean M. Wu, MD, PhD, Cardiovascular Research Center, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, 185 Cambridge Street, Boston, MA 02114. E-mail to smwu@partners.org


Friday, May 11, 2012

ヒト体細胞から網膜視細胞への分化誘導―杆体か錐体か運命を決める転写因子―

世古裕子博士による


ヒト体細胞(虹彩由来細胞)に3種類の転写因子(CRX, RX, NEUROD)をiPS作製と同様の方法で導入し、光応答のある視細胞様の細胞を得た。ヒト体細胞からiPSを経ることなく、直接的に光応答のある視細胞を作製し、いわゆるダイレクトリプログラミングによる方法での成功である。CRXRXの2因子で錐体細胞が誘導され、CRXNEURODの2因子で、杆体細胞が誘導された。NEURODは、錐体特異的遺伝子の一部の発現には抑制的に働き、杆体特異的遺伝子の発現には必須であり、最終分化にとって重要であった。

Seko Y,Azuma N, Kaneda M, Nakatani K, Miyagawa Y, Noshiro Y, Kurokawa R, Okano H,Umezawa A.: Derivation of Human Differential Photoreceptor-like Cells from theIris by Defined Combinations of CRX, RX and NEUROD. PLoS One. 7: e35611, 2012.





非対称
asymmetric