Sunday, April 26, 2009

Googleサーチにて

 Googleサーチ「幹細胞」で、129位。 2010年3月29日

 このブログは、忘備録(備忘録)だからと自虐的に書いたことがありますが、やはり評判は気になるものです。今、Googleサーチにて、「間葉系幹細胞」「骨髄間質細胞」とサーチしたら、なんと!1位と3位になっていました。瞬間風速のようなものでしょうが、嬉しいです。くどいようですが、瞬間風速のようなものなので、サーチして一位になっていないこともあるでしょうが、ご了解ください。





MUC 18/MCAM/CD 146

MUC 18/MCAM/CD 146

MUC 18/MCAM/CD 146 is a putative marker for MSCs.

MUC 18の仕事を研究室の誰かにやって貰おう。坂口さん、月経血とMUC 18の関係を見るのはどうでしょう。





忘れないうちに---森永先生からの教示---

子宮内膜に発生する
Malignant mixex mullerian tumor(carcinosarcoma)には、横紋筋肉腫の成分が多いとのことである。

Cui論文との関連が興味深い。

[[attached(1,center)]]


Tuesday, April 21, 2009

細胞のロゴ--- 成育のES細胞---

ロゴ--- 成育のES細胞---

今日、仲間と細胞に名札を付けることは可能かという話をしました。名札といっても細胞に、GFP遺伝子を導入して色を付けるとかの意味ではなくて、名前を入れ込んでしまうということです。まあ、無理ですね。遺伝子を導入することで性格を変えることも可能ですけど、名前のようなものをつけるのは、細胞表面抗原を修飾することで文字が浮かび上がるとかの意味ですけど、考えるだけ、時間の無駄なのでやめました。






Wednesday, April 15, 2009

マウス行動試験法

マウス行動試験法を委託で行ってくれる施設について、ご存じの方がいらっしゃいますか?

精神障害
・産後鬱
・自閉症
・学習障害(Learning disability)
・ADHD

Murine試験行動法
・スケジュール制御オペラント学習行動試験
・認知学習
・Flavor map試験(連想ゲーム=対連合学習機能)
・集団型全自動行動測定学習機能 (学習試験プロトコール)


Tuesday, April 14, 2009

自分の研究のルーツ

 ある学会で座長が,筆者が前職で所属していた研究室では古く(1960年頃)から再生医療にかかわる研究が行われており筆者の研究はその伝統の上に形成されたものであるというありがたい言葉を頂戴した.皮下に膀胱や胆嚢を移植することで骨形成が生じる研究,骨髄間質の形態学ならびにその細胞生物学的特性,ヒト幹細胞の多分化能に関する基盤的研究が50年の間進められ,その流れのひとつであるとのことである.ヒト細胞の寿命に関する研究も周りで行われていた.また,形態学を基盤とした解析法は,必要不可欠であった.


夜泣きの子どもへの対策

下の新聞記事を見て、自分が昔に主張していたことに関連していると思いました。長いけど、昔の投稿を再掲します。その下に新聞記事を貼り付けます。

 3ヶ月を過ぎて,1歳までまでの赤ん坊の夜泣きはすざましいものがある.よくもここまで泣くことができるなというくらい泣く.時々,裏声になっていたりしてせつなくきこえてくる.あまりにせつない声をだすので逆に義母や妹は笑い出すくらいだ.よくみると声だけで涙を流していないことも多い.

 ここでは,どうやったらこの夜泣きをしないようになるのかをいくつかの経験から紹介したい.夜泣きをやめさせるというのは同時に夜寝かしつける技術とも関係しており,一回おぼえたらやめられない.もっとも,多くの日本にいる親は一回の子育てで終わるが,その一回だって大変だ.夜寝かしつけるには,寝るまで添い寝をしてやって,本を読んであげるという親を知っている.それはそれで楽しいのだろうけど,毎日の義務であって疲れている時にはつらいし,添い寝をしないとねてくれない.ここに紹介する父親のための方法を知れば,子供の部屋の布団の中に子供をいれて後はテレビのある部屋に戻ればいい.

 一言でいえば子供を自立させることである.別な言葉で言えばあきらめてもらうことである.親を頼らず,寝る時はひとりであることを自覚してもらう.

 夜泣きの担当はだいたいどの家も母親であるが,これは基本的に間違いである.社会的に問題があると言うのではなく,夜泣きをやめさせるのに母親の出現はまず逆効果である.父親がやるべきである.これは社会的に父親がやるべきとか,生物学的に母親がやるべきであるとかいう問題ではなく,方法として父親がやった方が効果が高い.これは,父親が元来育児に参加する傾向が少ないからである.逆に育児によく参加する父親ではここに紹介する方法は効果がない.でも今の日本のビジネスマンは大部分,育児に参加していないでしょうから,過半数の方に役に立つ.
 
 まず,大事なことは,赤ん坊は別の部屋に寝てもらうことである.できれば両親の生活の音が聞こえない場所がいい.そんな部屋なんてないと言う方(1Kの住居にすんでいたり,もうひとつの部屋がとれない場合は,残念ながらあきらめることになります.ごめんなさい.)別の部屋に連れていってそこに寝かせて,親は自分の部屋に戻って下さい.さあ,これからがたいへんである.あなたの赤ん坊は100%泣く.泣くなんて生やさしいものではなく,泣き叫ぶ.全力で泣くのでその声は家中にひびきます.ここからがあなたの出番である.泣きさけんだって死ぬことはないので,部屋のドアの隙間からのぞくだけで相手をしてはいけない。大事なのは、「忍耐」であってほかにない。

 出番と言っても,起きるだけである.おきて様子を見ます。泣いているときがどのような状態かを見極め、問題がなさそうであれば、ほっておく。うんちのときは、とりかえてあげたほうがいい。お腹がすいてそうなときは、ほっておく。1時間から2時間泣き続けると、諦めてねる。または、あきらめて静かになる。それまで、親はがまんする。がまんできるかどうか、それがむずかしい。本当に辛い。しかし、1週間我慢すると、赤ん坊は夜泣きも全くしなくなり、お乳も要求しなくなり、朝までぐっすり寝る。一週間もやってられないかもしれないが、実際は3日目くらいから楽になる。

 がまんすると言っても、生やさしいものではない。赤ん坊がはいはいできるようになっていると扉の所までやってきて、扉をどんどんとたたく。それをある意味で無視する訳だから、自分が鬼であるかのような気がする。しかし、良く考えれば、赤ん坊だって規則正しい生活で快眠できれば、最高である。優しさは、ここでは逆効果と思っていただいて間違いない。

 この方法は生後どのくらいから、有効か。結構早い段階から、有効であり、生後3週間から行う人もいる。私どもは始めるのがおそいので(6ヶ月くらい)、始めるときはたいへんである。この件に関しては、妻とも意見が異なる。この方法がたいへん有効であり、赤ん坊の快眠に必要であることを認めているくせに、夜泣きをするとお乳を与えてしまう。一回お乳を与えると、かなりの確率で次の日も夜泣きをする。妻は疲れていると、夜中の育児は夫の仕事だと言って、寝てしまう。誠にいいかげんなことだ。

 現在、4人目の子育てを妻がしているが、これが最後の子育ての予定である。いずれもこの方法でどの子供も添い寝はしない。布団の中に赤ん坊を入れて、後は自分の部屋へ戻ればいい。赤ん坊は泣きもせず、おきていることもあるが、ちょっとの時間でねてしまう。赤ん坊が慣れてしまうと、父親である私の顔を見ると、寝にいくものと決めてかかるような態度を示す。習慣とはおそろしい。母親の顔を見るとお乳よこせだの、あやせだの、抱けだの、泣き始める。赤ん坊は相手を見て態度をかえる。

 ここに紹介した方法は,気がついた方がいるかもしれないがオリジナルではない.すでに多くの場所でかかれているし,米国西海岸で半分は教わって来た技術である.

 妻がこの方法は女性には不人気になると予言する。それなら、そうでいい。興味がある人だけが試してみればよい。昼間働いて、夜中に赤ん坊に泣かれた経験がある方は、わかるはずだ。「うずきゅうめいがん」で夜泣きが治るならそれはそれでいい。若い父親の福音となると信ずる。

 僕自身も一人ッ子で兄弟がなく,添い寝を要求し,親か祖父母がいなければ,子供でも夜中の3時まで寝ることができないこともあった.子供は本来は眠たいのに,ひとりだと寝ることができないとは悲しい.子供は結構,一日中遊んで疲れているんだ.




人模様:赤ちゃんにはもっと睡眠を--ジョディ・A・ミンデル
 小児の睡眠障害研究に取り組む米セントジョセフ大のジョディ・A・ミンデル教授(46)が来日し、「日本の赤ちゃんにもっと睡眠を」と訴えた。

 ミンデル教授らが昨年16カ国・地域で実施した調査によると、0~3歳児の平均睡眠時間は日本が11時間37分で一番短く、「赤ちゃんを寝かせるのが大変だ」と思っている親の割合も28%と最も多かった。一方で、「自分の赤ちゃんの睡眠に問題がある」と思っている親はアジア各国平均が54%なのに対し、日本は20%に過ぎず、「驚かされた」と言う。

 赤ちゃんを十分寝かせるコツは、毎日同じ時間に眠るよう生活を管理し、風呂やマッサージなど眠るための儀式を作ること、自発的に眠る習慣をつけることだという。「寝かしつけられるより自分から眠った方が、夜中に起きる回数が少ないことが調査で分かっています」

 金融危機以降、アメリカでは大人の睡眠時間が減少傾向にある。「子供の睡眠にまで危機を波及させないよう、各家庭でしっかりと対策を」【上杉恵子】


Sunday, April 12, 2009

ヒト幹細胞マーカーに対するプローブ

実際に、モノクローナル抗体を産生できているハイブリドーマをここに記載。赤坂博士が作成したR4A9のみが、マウスに対するプローブで、それ以外はヒトに対するプローブです。

〔在庫あり〕
HB5、HF2、HF11、3A3、3A8、4C4、6D3、5C11、5D9、R4A9、6E2

〔在庫なし〕
2G10、5H10、5C7、5G9


Wednesday, April 8, 2009

社会貢献

下は、NCR-G3細胞がExtraembryonic trophectoderm lineageに分化し、hCGを産生するようになった免疫組織化学です。大学にいたときの研究で、当時の国立小児病院にて樹立された細胞です。




<xxx@nch.go.jp> X-Original-To: xxx@nch.go.jp Delivered-To: xxx@nch.go.jp Received: from isv.nch.go.jp (unknown [172.20.10.18]) by mail.nch.go.jp (Postfix) with ESMTP id ACC72CF09A for <xxx@nch.go.jp>; Sat 3 Dec 2005 19:07:03 +0900 (JST) Received: from isv.nch.go.jp (isv [127.0.0.1]) by localhost.nch.go.jp (Postfix) with ESMTP id 412732D4363 for <xxx@nch.go.jp>; Sat 3 Dec 2005 19:16:12 +0900 (JST) Received: from jukuin.keio.ac.jp (mita1.jukuin.keio.ac.jp [131.113.215.30]) by isv.nch.go.jp (Postfix) with SMTP id 1DCBF2D4359 for <xxx@nch.go.jp>; Sat 3 Dec 2005 19:16:12 +0900 (JST) Received: (qmail 84606 invoked by uid 1985); 3 Dec 2005 10:16:12 -0000 Delivered-To: v1985-umezawa@1985.jukuin.keio.ac.jp Received: (qmail 84602 invoked from network); 3 Dec 2005 10:16:12 -0000 Received: from isv.nch.go.jp (203.181.255.19) by mita1.jukuin.keio.ac.jp with SMTP; 3 Dec 2005 10:16:12 -0000 Received: from isv.nch.go.jp (isv [127.0.0.1]) by localhost.nch.go.jp (Postfix) with ESMTP id C9A352D4363 for <xxx@1985.jukuin.keio.ac.jp>; Sat 3 Dec 2005 19:15:45 +0900 (JST) Received: from mail.nch.go.jp (nchgw450.nch.go.jp [203.181.255.1]) by isv.nch.go.jp (Postfix) with ESMTP id B2C2C2D4359 for <xxx@1985.jukuin.keio.ac.jp>; Sat 3 Dec 2005 19:15:45 +0900 (JST) Received: from EPSON121716232 (unknown [172.20.53.103]) by mail.nch.go.jp (Postfix) with SMTP id CFC95CF09A for <xxx@1985.jukuin.keio.ac.jp>; Sat 3 Dec 2005 19:06:36 +0900 (JST) Message-ID: <000901c5f7f2$86331c50$673514ac@EPSON121716232> From: "xxx" <xxx@nch.go.jp> To: xxx先生 <xxx@1985.jukuin.keio.ac.jp> Subject: Gシリーズの細胞 Date: Sat 3 Dec 2005 19:15:44 +0900 MIME-Version: 1.0 Content-Type: multipart/alternative; boundary="----=_NextPart_000_0005_01C5F83D.F607B180" X-Priority: 3 X-MSMail-Priority: Normal X-Mailer: Microsoft Outlook Express 6.00.2900.2180 X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V6.00.2900.2180 xxxx先生 お疲れのところ大変恐縮です。 先ほどxxxxのxxxx様より以下のメールをいただきました。 現在の進行状況を教えていただけますと大変助かります。 もし特に移動準備が進んでいないようでしたら、 来週早々に発送準備を始めますので、 送る細胞種、量、培地に関してご指示いただきたく存じます。 どうぞ宜しくお願い申し上げます。 xxxx ----- Original Message ----- From: xxxx To: 'xxxx' Sent: Saturday December 03 2005 3:35 PM Subject: 大変ご無沙汰しております。 xxxx研究部 xxxx様 ご無沙汰しております。xxxx研(xxxx)大学院生のxxxxです。 おかげさまで、教えていただいた条件で行ったPCRは、とても上手くいきました。有り難うございました。 また、送っていただきました胎児性癌細胞のRNA solも、ポジコンとしてとても役にたち、助かりました。 ところで、RNAをたくさん使ってノザンや、あるいは蛋白の解析も行いたいと考え、xxxx先生に細胞そのものをいただけないかとお願いしましたところ、承諾いただき、移動準備を進めるとのお返事を頂戴いたしました。その件につきまして、大まかなところで結構ですので、大体いつごろお送りいただくことが可能になりそうかを教えていただけないでしょうか?ご多忙な中、厚かましいお願いで申し訳ありませんが、ある程度の目処が付きますようでしたら、教えていただければ幸いです。 このところ急に寒さがましたように思いますが、体調など崩されませんようご自愛ください。 xxxx大学大学院  xxxx


Tuesday, April 7, 2009

お詫びとお礼

 研究室で、がんばってくれた方に。面倒くさい作業をしてくれて、ありがとう。

jhata先生から、頂戴したスライドが分かりやすいので添付させていただきます。お礼申し上げます。




 大変にご無沙汰しております。先日はヒト胎児性腫瘍由来の細胞株のRNAをお送り頂き、まことに有り難うございました。 同サンプルは、ヒト各種細胞におけるECAT遺伝子の発現を調べる時のポジティブコントロールとして極めて有用で、とても感謝しております。 さて、現在消化器内科からこちらに来ております大学院生が、ヒト消化器癌細胞におけるECATの発現を見ております。RT-PCRでは定量性に限界があり、またトランスクリプトの大きさも見られないためノザンブロットによる解析を考えています。その時に、また先生の細胞をコントロールとして使わせて頂きたいのですが、RNAが多量に必要となります。そこで大変あつかましいお願いではあるのですが、細胞そのものを使わせて頂くことはできないでしょうか。大変に貴重な細胞でありますので、もちろん共同研究としてお願いしたいと考えております。 お忙しいところ申し訳ありませんが、ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。


もの凄く迅速なご回答、感激致しました。


コメント力(りょく)

 マスコミからの質問です。コメントも何も。。。。 気の利いたことを答えたのかな。


 ごぶさたしております。実は先生のご意見を拝聴したく連絡いたします。  奈良先端大学の山中助教授が、ネーチャーにES細胞の全能性を司る遺伝 子(nanog)を発表しています。  山中助教授はこの遺伝子を組織幹細胞で発現させ、組織幹細胞をES細胞に変換す る(厳密にいううと近づける)ことが可能ではないかと話しています。  MSCの専門家であるxxxx先生からご覧になって、     ㈰MSCからES細胞的全能細胞への転換は可能だと思われますか?     ㈪そもそもMSCからES細胞的全能細胞への変換は医学、医療という観点から 魅力的と思われますか?        もし可能ならコメントを頂戴できないでしょうか?



代謝と日内変動

I博士がサイエンス誌に発表した論文です。




たくさんの論文が、代謝の日内変動を分子レベルで解決しているようです。サイエンス誌に発表された内容は、キレのいいデータがそろっていました。一方、病態生理に関するコメントも記載されており、睡眠やらと脂肪代謝が議論されており、具体的な分子clockとBmal1を介した転写調節にかかるデータもあります。





Grand Tetonの湖でカヌーを漕ぐ。


最近の、嬉しいこと

 米国で立派に偉い方になられたI博士から、コメントをメールで頂戴しました。嬉しいので、貼り付けます。サイエンス誌に、I博士は論文を最近、発表しました。すごいです。

 SIRT1と老化、でgoogleっていた時に偶然このblogを見つけました。しかもよく見る
と電話の内容まで書いてありますね! お祝いのお言葉、ありがとうございます。そう
いえば、いつYSNPにいらしたのですか? 教えてくれればよかったのに、水臭いです
よ! 実は私も去年の7月にGrand TetonとYSNPに行きました。もう3度目です。Grand
Tetonが非常に気に入っていて、リピーターと化しつつあります。この5月にまた帰国
します。今度は大阪です。私もblogを始めようかな、という気になりました。



Wednesday, April 1, 2009

糖鎖は幹細胞のマーカー---豊田博士の論文とプロジェクトの餡パン

Medical Glycomicsという糖鎖を研究するプロジェクトがある。そこのひとつのプロジェクトに、幹細胞の糖鎖に対するプローブ開発がある。



おひるごはんにでたアンパンに大きなMGの文字は印象的でした。

豊田雅士博士がお書きになったマーカーの一例です。とっても勉強になります。

Tra-1(Tumor rejection antigen)はヒト胚細胞性腫瘍 (germ cell tumor)の患者血清中に見出された抗原の一つである。このうち、1998年J.A.Thomsonらによる最初のヒト胚性幹(ES)細胞樹立に際しTra-1-60,Tra-1-81を細胞表面マーカーとして報告したことから、これらは今ではヒトES細胞のマーカーとして欠くことのできない存在としての地位を確保している。Tra-1-60, Tra-1-81は、ヒトES細胞のほか多分化能をもつ未分化なヒト胎児性癌(EC)細胞、ヒト胚性生殖(EG)細胞においても発現が認められ、細胞分化にともない失われる。

これら抗原に対する抗体はいずれも同じ高分子のケラタン硫酸プロテオグリカンをエピトープとして認識している。ケラタン硫酸は、硫酸化されたガラクトース(Gal)とN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)の二糖の繰り返し構造から構成される。硫酸基はGalとGlcNAcの両方または片方の6位炭素に結合した構造をしており、コアとなるタンパク質との結合様式や硫酸化度、鎖長は組織により多様であることが知られている。  

Tra-1-61抗体によって認識されるエピトープは、Tra-1-81抗体と異なりノイラミニダーゼ消化によって消失することから、シアル酸を含む糖鎖構造を認識している。
2007年W.M.SchopperleらによってTra-1-60, Tra-1-81抗体がシアロムチンのCD34ファミリーメンバーでケラタン硫酸化糖タンパク質ポドカリキシン(podocalyxin)上の、糖質エピトープを特異的に認識することを明らかにしている。ポドカリキシンは膜貫通型の糖タンパク質で足細胞として知られる上皮性糸球体細胞から同定され、糸球体の機能・形態の保持において重要な役割をしているほか、種々の癌の発達にも関係していることが知られている。ヒト幹細胞でのポドカリキシンの役割は不明であるが、未分化細胞において分子サイズが大きく糖鎖修飾の違いが未分化の維持に関与していることが推定されている。

参考文献
1. 豊田雅士、梅澤明弘、再生医療における糖鎖マーカー 遺伝子医学MOOK 2008;11:240-244.
2. Schopperle WM and DeWolf WC, The TRA-1-60 and TRA-1-81 human pluripotent Stem cell Markers are expressed on podocalyxin in Embryonal Carcinoma. Stem cells 2007; 25: 723-730.