Sunday, June 2, 2013

分類の話

昨日、塩野賞の授与式に行った。受賞講演が興味深かった。疾患や組織型といった分類から、原因となる遺伝子変異またはその治療薬に応じた疾患分類が考えられるという話。たとえば、ALKomaとか、MAPK症候群とかがありえる。受賞講演では、ALKomaについてコメントしていたが、別の遺伝子が関わった場合はREToma, RAComaっていうのもありとのこと。

一昨日のS氏との研究打ち合わせでの話。細胞分類とか動物の分類とは、便宜的という話。細胞は形態学的に分類し、機能的に分類し、さまざまな形での分類がある。その分類は便宜的で目的に応じた分類があり、普遍的なものはないという話。たとえば、細胞製剤で細胞の特性を見るときに細胞が何であるかはそんなに重要ではなく、効果効用に即した特性解析を中心におくべきであるという考え方の枠組みを示された。なるほどね。腺細胞って言ったって、他の細胞とは異なることは自明でも細かいところはどうでもいいね。チンパンジーとヒトって言ったって、中間があってもおかしくないしね。細胞だって、重層扁平上皮に近い腺上皮があってもいいし、間葉系に近い上皮があってもいいし。実際あるしね。

このブログのタイトルも関係するね。骨髄間質細胞って、骨髄のうち間充織を埋める細胞を指すけど、その中には脂肪細胞、軟骨細胞、骨芽細胞があり、それぞれ異なる機能を持つ。でも、両方の機能を有する細胞もあるし、どちらかよりという細胞もあるし、両方になれる細胞もあるだろう。転写因子の正フィードバック機能により、discreteな表現形を細胞がとることがほとんどなんだろうけど、中間にある細胞っってあるはず。

ダイレクト・リプログラミングで、この世に存在しない細胞が創れるだろうか。うーむ。分からない。ありそうだし、できそうだし、良く分からない。神様がそんなことはさせじと、正フィードバックとクロマチン高次構造で新規細胞なんてできなそうだけど、鍵のかけわすれって言ってiPS細胞を造れるようにしてあったからね。故意なんだかどうかは分からないけど、どうも故意とは思えないし、新規細胞だってありえる。スーパー間葉系細胞っていって、エネルギーは貯められるし、今より硬い骨はつくるし、壊れない上にこの上ないクッション性を持つ軟骨細胞。えっと考えの枠組みが既存の枠を超えていないぞ。想像を働かせ、俺!!突然、考え始めることができる骨!!あんまり嬉しくないな。全身の骨格筋が心筋細胞からできている。想像すると、とても嬉しくない。

アマゾンで本を買ったので、この話はその本を読んでからまたしよう。


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