【発明の名称】 | 細胞噴射装置 |
【発明者】 | 【氏名】三好 俊一郎 【氏名】日比野 浩樹 |
【課題】体腔内に配置される臓器に対し、患者への侵襲を低減しつつ幹細胞を生着させる細胞噴射装置を提供する。 【解決手段】細胞Aを分離状態に貯留する細胞貯留部2と、体腔内まで貫通形成された貫通孔に挿入可能な先端部6と、該先端部6に細胞貯留部2に貯留されている細胞Aを供給する細胞供給部7と、先端部6に加圧されたガスGを供給する加圧ガス供給装置8とを備える細胞噴射装置1を提供する。 |
【特許請求の範囲】 【請求項1】 細胞を分離状態に貯留する細胞貯留部と、 体腔内まで貫通形成された貫通孔に挿入可能な先端部と、 該先端部に前記細胞貯留部に貯留されている細胞を供給する細胞供給部と、 前記先端部に加圧されたガスを供給する加圧ガス供給装置とを備える細胞噴射装置。 【請求項2】 前記先端部が、内視鏡の挿入部に形成されたチャネル内に挿入可能に設けられている請求項1に記載の細胞噴射装置。 【請求項3】 前記先端部に、生体親和性の接着剤を供給する接着剤供給部が備えられている請求項1または請求項2に記載の細胞噴射装置。 【請求項4】 前記先端部に、体腔内の空気を吸引する吸引手段が備えられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の細胞噴射装置。 【請求項5】 前記細胞貯留部が、細胞を、生体親和性の液体内に浮遊させた状態で貯留している請求項1から請求項4のいずれかに記載の細胞噴射装置。 【請求項6】 細胞を分離状態に貯留する細胞貯留部と、 体腔内まで貫通形成された貫通孔に挿入可能な挿入部を備える内視鏡装置と、 該内視鏡装置の挿入部に設けられたチャネルの先端に前記細胞を供給する細胞供給部と、 前記チャネル内に、加圧されたガスを供給する加圧ガス供給装置とを備える細胞噴射装置。 【請求項7】 前記細胞供給部が、前記内視鏡装置の挿入部先端に着脱可能に取り付けられる取付部と、該取付部と前記細胞貯留部との間に配置される供給管とを備え、 該供給管の一端は、前記細胞貯留部に接続され、他端は、前記取付部が挿入部先端に取り付けられたときに、前記チャネルの先端開口に一致する位置に配置される請求項6に記載の細胞噴射装置。 | ||||||||||||
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、心臓等の臓器の表面に細胞を噴射するための細胞噴射装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、心筋梗塞や狭心症のような心臓疾患であって、薬剤による内科的な治療によっても症状が改善しない、いわゆる薬剤不応性重症心不全の患者に対しては、骨髄等から採取した幹細胞をin vitroで培養して増殖させた後、培養容器から剥離して心臓内に直接注入する治療方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。 しかし、幹細胞は、培養容器から剥離する際に、酵素反応によって接着因子を失い組織への生着が極端に低下する。 【0003】 一方、例えば、瘢痕性角結膜症等の中度または重度の角膜疾患等の治療のために培養上皮細胞シートが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。また、火傷等の皮膚損傷を治療するために、火傷により死滅した表皮を除去し、除去された部分をマスキングするために細胞シートが用いられている(例えば、特許文献2参照。)。細胞シートは、温度により疎水性から親水性に急激に変化する性質を有する温度応答性ポリマー加工された培養容器内において培養される。温度応答性ポリマーは、例えば、37℃での培養時には、疎水性を呈して、接着性の細胞を接着状態に維持して成長を促進し、剥離させるときには、例えば、20℃程度に冷却することにより、親水性に変化させ、培養容器から細胞シートを容易に剥離させることができる。 【0004】 温度応答性ポリマーを使用することにより、従来トリプシン等のタンパク質分解酵素を用いて剥離させていた場合と比較すると、細胞に与える損傷が少なく、健全な状態の細胞シートを製造することができるという利点がある。そして、このようにして剥離された細胞シートは、培養容器の底面に設けられた温度応答性ポリマーの作用により剥離されたものであるため、細胞自体の接着性に変化はなく、組織への高い生着性を示すという利点がある。 【特許文献1】特開2002-331025号公報 【特許文献2】国際公開第02/10349パンフレット 【非特許文献1】財団法人先端医療振興財団、”診療のご案内”、[online]、平成18年1月5日検索、インターネット<URL:http://www.ibri-kobe.org/01center/heart/heart1.htm> 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上述した角膜疾患の治療や、火傷時の皮膚の治療等のように、人体の外部に露出する部位の治療に際しては、上記細胞シートを広げたままで、容易に患部に配置することができるが、例えば、心臓疾患のように臓器の病変を治療する場合には、細胞シートを体腔内に導入する必要があるという不都合がある。すなわち、細胞シートを広げたまま導入するには、広い作業空間を確保するために、大きく開胸あるいは開腹して心臓等の治療しようとする臓器を露出させなければならず、患者に対する侵襲性が高く、患者にかかる負担が大きいという問題がある。 【0006】 本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、体腔内に配置される臓器に対し、患者への侵襲を低減しつつ細胞を生着させることができる細胞噴射装置を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。 本発明は、細胞を分離状態に貯留する細胞貯留部と、体腔内まで貫通形成された貫通孔に挿入可能な先端部と、該先端部に前記細胞貯留部に貯留されている細胞を供給する細胞供給部と、前記先端部に加圧されたガスを供給する加圧ガス供給装置とを備える細胞噴射装置を提供する。 【0008】 本発明によれば、体表に形成された貫通孔に先端部を挿入して、体腔内の臓器の表面に先端部を近接配置し、細胞供給部を作動させることにより、細胞貯留部に貯留されている細胞が先端部に供給される。この状態で加圧ガス供給装置を作動させることにより、先端部に供給された細胞が加圧ガスにより臓器表面に向けて噴射される。ガスとしては、CO2ガスあるいはN2ガスを用いることが好ましい。 【0009】 また、開胸あるいは開腹手術を行わないので、術後の癒着等の問題もなく、同一の臓器に対して頻回に細胞を噴射する治療を行うことができる。 【0010】 上記発明においては、前記先端部が、内視鏡の挿入部に形成されたチャネル内に挿入可能に設けられていることとしてもよい。 このようにすることで、体表に形成された貫通孔に挿入された内視鏡の挿入部のチャネルを介して先端部を体腔内に挿入し、先端部から細胞を臓器表面に向けて噴射することができる。これにより、内視鏡による患部の同定作業と細胞の噴射作業とを連続して行うことが可能となり、作業時間を短縮することができる。また、内視鏡により患部への細胞の吹き付け状態を観察しながら作業することが可能となる。 【0011】 また、上記発明においては、前記先端部に、生体親和性の接着剤を供給する接着剤供給部が備えられていることとしてもよい。 このようにすることで、接着剤供給部の作動により、生体親和性の接着剤を細胞の噴射に先立って、あるいは細胞と同時に噴射され、細胞の臓器表面への生着を増進することができる。 【0012】 また、上記発明においては、前記先端部に、体腔内の空気を吸引する吸引手段が備えられていることとしてもよい。 このようにすることで、吸引手段の作動により体腔内の空気が吸引される。先端部から細胞を噴射することにより増加する体腔内の圧力上昇を抑制し、臓器にかかる負担を低減することができる。 【0013】 また、上記発明においては、前記細胞貯留部が、細胞を、生体親和性の液体内に浮遊させた状態で貯留していることとしてもよい。 このようにすることで、接着性を有する細胞が生体親和性の液体内に分離された状態で浮遊させられるので、比較的小径の先端部にも円滑に細胞を供給することができる。 【0014】 また、本発明は、細胞をを分離状態に貯留する細胞貯留部と、体腔内まで貫通形成された貫通孔に挿入可能な挿入部を備える内視鏡装置と、該内視鏡装置の挿入部に設けられたチャネルの先端に前記細胞を供給する細胞供給部と、前記先端部に加圧されたガスを供給する加圧ガス供給装置とを備える細胞噴射装置を提供する。 【0015】 本発明によれば、貫通孔を介して内視鏡装置の挿入部を体腔内に挿入し、細胞供給部および加圧ガス供給装置の作動により、細胞貯留部に貯留されている細胞を挿入部の先端から臓器表面に噴射することができる。噴射に先立って細胞を吹き付けるべき患部を内視鏡装置により同定し、より確実に患部に噴射することができる。 【0016】 上記発明においては、前記細胞供給部が、前記内視鏡装置の挿入部先端に着脱可能に取り付けられる取付部と、該取付部と前記細胞貯留部との間に配置される供給管とを備え、該供給管の一端は、前記細胞貯留部に接続され、他端は、前記取付部が挿入部先端に取り付けられたときに、前記チャネルの先端開口に一致する位置に配置されることとしてもよい。 【0017】 このようにすることで、取付部を内視鏡装置の挿入部先端に取り付け、加圧ガス供給手段を作動させることにより、チャネル内に加圧されたガスが供給され、チャネルの先端開口に一致する位置に配置された供給管の一端から細胞貯留部に貯留されている細胞を加圧されたガスの圧力により臓器の表面に噴射することができる。取付部を着脱可能とすることにより、汎用的な内視鏡装置を使用することが可能となる。 【発明の効果】 【0018】 本発明によれば、体腔内に配置される臓器に対し、患者への侵襲を低減しつつ細胞を生着させることができるという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 以下、本発明の第1の実施形態に係る細胞噴射装置1について、図1および図2を参照して説明する。 本実施形態に係る細胞噴射装置1は、図1および図2に示されるように、細胞Aを貯留する細胞容器(細胞貯留部)2と、内視鏡装置3の挿入部4に設けられたチャネル5内に挿入可能な外径寸法を有するノズル(先端部)6と、該ノズル6内に細胞Aを供給する細胞供給装置(細胞供給部)7と、ノズル6内に加圧されたガスGを供給するガス供給装置8とを備えている。 【0020】 細胞容器2には、例えば、細胞と浸透圧が同じ液体、好ましくは、生理食塩水、ブドウ糖液、PBS、MEMまたはTween-80のような生体親和性の高い液体Bが貯留され、前記細胞Aが液体B内に浮遊した状態に保持されている。これにより、各細胞Aは相互に接着することなく分離状態に維持されるようになっている。なお、液体Bに界面活性剤を添加してもよい。 【0021】 前記細胞供給装置7は、前記細胞容器2およびノズル6に接続された供給管9を備えている。供給管9は、その一端が細胞容器2内に貯留されている細胞Aを浮遊させた液体B内に浸漬され、他端が前記ノズル6内部の先端部近傍に開口するように配置されている。 【0022】 前記加圧ガス供給装置8は、加圧されたCO2ガスGを供給するCO2ガスボンベ10と、該CO2ガスボンベ10と前記ノズル6とを接続する接続配管11と、該接続配管11を開閉するバルブ12とを備えている。バルブ12を開状態に切り替えることにより、CO2ガスボンベ10内の加圧されたCO2ガスGを接続配管11を介してノズル6内に供給し、ノズル6の先端開口6aから噴出させることができるようになっている。そして、ノズル6内に発生する高速のCO2ガスG流により、ノズル6内に開口する供給管9の先端近傍を負圧にして供給管9内の細胞Aを含む液体Bを吸引、吐出させることができるようになっている。 【0023】 なお、内視鏡装置3には、挿入部4の先端から照明光Lを出射する照明装置(例えば、図示しない光源からの光を導くライトガイド)13と、臓器C等における反射光を集光する対物光学系14,15と、該対物光学系14,15を介して集光された反射光を撮像するCCD等の撮像素子16とが備えられている。また、挿入部4の先端には、超音波を発生し、臓器C等から戻ってくるエコーを検出することで臓器C等の断層映像を取得可能な超音波プローブ(図示略)が備えられている。 【0024】 また、挿入部4には、その長手方向に沿って、上述したように1以上のチャネル5が備えられている。チャネル5は、鉗子(図示略)等を挿脱可能であるとともに、該チャネル5を介して前記幹細胞噴射装置1のノズル6を臓器Cの表面に近接配置させることができる。また、該チャネル5の後端に接続された吸引ポンプ17により、チャネル5の先端開口5aから空気を吸引することができるようになっている。さらに、臓器C表面を焼灼する焼灼プローブ(図示略)を前記チャネル5を介して臓器C表面近傍に配置することができるようになっている。 【0025】 このように構成された本実施形態に係る細胞噴射装置1の作用について、以下に説明する。 本実施形態に係る細胞噴射装置1を用いて間葉系幹細胞の細胞Aを臓器C、例えば、心臓(以下、心臓Cともいう。)の表面に生着させるには、まず、肋骨D間に配置される皮膚Eに内視鏡装置3の挿入部4を挿入可能な貫通孔Fを形成し、挿入部4の先端を体腔H内に配置する。照明装置13を作動させ体腔H内の心臓Cを照明し、心臓Cからの反射光を対物光学系14,15およびCCD16により撮像して取得された映像をモニタ(図示略)に表示する。 【0026】 そして、モニタに表示された映像を見ながら、チャネル5を介して挿入された鉗子を操作して、心外膜Jを切断し、挿入部4の先端を心外膜J内の心嚢腔Kに挿入して心臓C表面に近接させる。 この状態で、超音波プローブを作動させ、心臓Cから戻るエコーを検出することで、心臓Cの断層映像を取得しモニタに表示する。これにより、例えば、超音波断層映像の中で動いていない部分を虚血部(患部)として同定することができる。 【0027】 次に、上記のようにして同定された心臓Cの虚血部に対し、焼灼プローブを近接配置させて作動させ、虚血部に相当する心臓Cの表面を焼灼する。これにより、心臓C表面を乾燥状態として細胞Aの接着性を向上することができる。 【0028】 この状態で、内視鏡装置3の挿入部4のチャネル5を介して本実施形態に係る幹細胞噴射装置1のノズル6を心嚢腔K内に挿入し、前記焼灼プローブによって焼灼された心臓C表面の虚血部近傍に対向配置させる。そして、加圧ガス供給装置8を作動させ、バルブ12を開状態とすることにより、CO2ガスボンベ10に封入されているCO2ガスGを、接続配管11を介してノズル6内に導き、ノズル6の先端開口6aから噴射させる。 【0029】 これにより、CO2ガスGの高速気流によってノズル6内が負圧となるので、供給管9を介して細胞容器2内の細胞Aが吸引され、ノズル6の先端開口6aからCO2ガスGとともに噴射される。細胞Aは、その一面に接着性を有しているので、ノズル6の先端開口6aから噴射され心臓C表面の虚血部に吹き付けられることにより接着させられ、高い確率でそこに生着するようになる。 【0030】 このとき、同時に、チャネル5の後端に接続された吸引ポンプ17を作動させ、チャネル5の先端開口5aから空気を吸引させる。このようにすることで、CO2ガスGの噴射により心嚢腔K内の圧力が上昇するのを吸引ポンプ17による吸引によって抑制し、心臓Cを始め、体腔H内の他の臓器に負担がかかるのを防止することができる。 なお、吸引ポンプ17による吸引を行う代わりに、図3に示されるように、チャネル5の手元側開口部にドレインチューブ5′を接続し、ドレインチューブ5′の他端を液層Wに漬けるウォータシール法を用いてもよい。図中、符号23はドレインタンクである。このようにすることで、心嚢腔K内の圧力がある程度上昇すると、ドレインチューブ5′を介して空気が流出し、心臓Cを始め、体腔H内の他の臓器に負担がかかるのを防止することができる。 【0031】 このように、本実施形態に係る幹細胞噴射装置1によれば、内視鏡装置3の挿入部4を挿入可能な比較的小さい貫通孔Fを皮膚Eに設けるだけで済み、心臓C等の臓器を体外に露出させるような大がかりな開胸手術や開腹手術を行う必要がないので、侵襲性が低く、局所麻酔で行うことができ、患者にかかる負担を大幅に軽減することができる。したがって、頻回に細胞Aの噴射を行うことも可能となる。 また、細胞Aの噴射に先立って、臓器Cの表面を焼灼する前処理を施すので、細胞Aの接着性をさらに向上することができる。 【0032】 また、内視鏡装置3の挿入部4に設けられたチャネル5を介してノズル6を挿入するので、内視鏡装置3に備えられた種々の機能を同時に利用することができる。したがって、細胞Aを吹き付ける患部の位置を正確に同定し、患部の状態を確認し、心外膜Jの切開や臓器C表面の焼灼等の前処理を確実に行うことができる。 【0033】 なお、本実施形態においては、ノズル6内に供給する加圧されたガスとしてCO2ガスGを採用したが、これに代えて、N2ガス等の他の任意の無害なガスGを採用することとしてもよい。また、本実施形態においては、CO2ガスGの高速気流により発生する負圧を利用してエゼクタと同様の原理によって細胞Aを供給管9の先端から吸引することとしたが、これに代えて、供給管9に、細胞Aを送り出す供給ポンプ(図示略)を配置することとしてもよい。 【0034】 また、供給校9をY字管として、二股に別れている側の2本の管路をノズル6の手元側に、別れていない側1本の管路をノズル6の先端側に配置することとしてもよい(図示略)。二股に別れている側の一方の管路から、まず生理食塩水を導入し、次に空気層、次いで、細胞懸濁液、空気層、生理食塩水の順で導入する。圧力をかけてこれらを先端側に送りながら、他方の管路を手元側で吸引する。管路が合流する部分まで細胞懸濁液が進行したら、吸引を止め、細胞懸濁液をノズル6から噴射させる。このようにすることで、細胞懸濁液が供給管9の途中部分に残存することなく、効率よく細胞を吹き付けることができる。 【0035】 また、図4に示されるように、前記供給管9に並列して他の供給管9を配置し、硬化剤容器18に貯留されたトロンビンのような生体適合性の高い硬化剤Mを細胞AおよびフィブリノーゲンB′とともに、あるいは細胞AとフィブリノーゲンB′の噴射に先立って、臓器Cの表面に吹き付けておくことにしてもよい。図中、符号19は硬化剤Mを供給する供給管,符号20,21はそれぞれ、供給管9,19を開閉するバルブである。図中、符号102は細胞容器である。フィブリノーゲンB′およびトロンビンの濃度は、好ましくは、トロンビン69U/ccのとき、フィブリノーゲンB′が2mg/cc以上、フィブリノーゲンB′が5mg/ccのときトロンビン35U/cc以上である。 【0036】 また、本実施形態においては、内視鏡装置3の挿入部4に設けられたチャネル5内にノズル6を挿入し、ノズル6内に加圧されたCO2ガスGを供給することで細胞Aを噴射することとしたが、これに代えて、図5に示されるように、チャネル5自体をノズルとして利用し、チャネル5内に直接CO2ガスGを流通させることとしてもよい。この場合、CO2ガスボンベ10に接続する接続配管11をチャネル5に直接接続することとすればよい。また、吸引ポンプ(図示略)による吸引は他のチャネル5を使用することとすればよい。 【0037】 また、本実施形態に係る細胞噴射装置1においては、チャネル5内を通して供給管9を挿入部4の先端まで導くこととしたが、これに代えて、図6に示されるように、細胞供給装置7が、内視鏡装置3の挿入部4先端に着脱可能に取り付けられるキャップ(取付部)22を備え、前記供給管9が、細胞容器2とキャップ22との間に設けられていることとしてもよい。挿入部4先端にキャップ22が取り付けられた状態で、供給管9の先端が、挿入部4のチャネル5の先端開口5aに一致する位置に配置されるようになっている。 【0038】 これにより、チャネル5を介して供給された加圧されたCO2ガスGにより、供給管9を介して供給された細胞Aを臓器Cの表面に向けて噴射することができる。 また、このように構成することにより、細胞Aを噴射したい場合には、挿入部4の先端にキャップ22を固定するだけで済むので、汎用の内視鏡装置3をそのまま使用することができる。 【0039】 また、本実施形態においては、内視鏡装置3との組合せにより、臓器Cの患部を確認しながら細胞Aを噴射する幹細胞噴射装置1について説明したが、内視鏡装置3を用いることなく、ノズル6自体を直接貫通孔Fを介して体腔H内に挿入し、細胞Aを噴射することとしてもよい。 また、細胞Aを製造する間葉系幹細胞を月経血やヒト胎盤から採取することとしたが、これに代えて、骨髄液から採取した間葉系幹細胞を採用してもよく、その他の細胞でもよい。また、細胞Aは、シート状でもよいし、重層化していてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0040】 【図1】本発明の一実施形態に係る幹細胞噴射装置の全体構成を模式的に示す図である。 【図2】図1の幹細胞噴射装置を用いた細胞シート片の噴射作業を説明する図である。 【図3】図1の幹細胞噴射装置の第1の変形例を示す図である。 【図4】図1の幹細胞噴射装置の第2の変形例を示す図である。 【図5】図1の幹細胞噴射装置の第3の変形例を示す図である。 【図6】図1の幹細胞噴射装置の第4の変形例を示す図である。 【符号の説明】 【0041】 A 細胞 B 液体 C 心臓(臓器) E 皮膚 F 貫通孔 G CO2ガス(ガス) H 体腔 M 接着剤 1 幹細胞噴射装置 2 細胞容器(細胞貯留部) 3 内視鏡装置(内視鏡) 4 挿入部 5 チャネル 5a 先端開口 6 ノズル(先端部) 7 細胞供給装置(細胞供給部) 8 加圧ガス供給装置 9 供給管 17 吸引ポンプ(吸引手段) 18 接着剤容器(接着剤供給部) 19 供給管(接着剤供給部) 22 キャップ(取付部)
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