20年も前(1985年)に自身が病理学の分野に参加したときに、食堂と呼ばれる部屋で現千葉大学教授の張ヶ谷健一先生に「上皮って何ですか?間葉って何ですか?」という単純というか無知というか質問をし、質問された側だけでなく質問した側まで困惑してしまった記憶がある.質問はともかく、間葉系細胞の役割には、ふたつある.ひとつは、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、神経細胞に分化する間葉系幹細胞としてであり、もうひとつは他の幹細胞を支持する細胞としてである.その役割を考えると同時に「間葉系細胞とは何か」という問いに対して分子レベルでの定義をすることは、極めて重要であると考える.
間葉は支持する組織という意義付けができ、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、神経細胞に分化する潜在能を有している.間葉系細胞は、E-cadherin陽性細胞(上皮細胞、胚盤胞内部細胞塊、胚性外胚葉・エピブラスト)に対し、BMP (bone morphogenetic protein)やFGF(fibroblast growth factor)、Wnt, TGF-betaが作用することにより、Smad, TCFといった転写因子を介してSnail(Znフィンガー型転写因子)が活性化されることにより形成される.このSnailがE-cadherin遺伝子プロモーターに存在するE-boxに結合することでE-cadherin遺伝子発現が抑制される.同時に、ビメンチン、ファイブロネクチンといった間葉に特徴的な遺伝子の発現が上昇する.最終的には、間葉系細胞を規定する分子機序が明確にし、間葉系細胞の分化過程を分子レベルで明らかにすることが必要である.
Tuesday, March 6, 2007
間葉系幹細胞の特定
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