臍帯血から間葉細胞が単離できるという発表が次々となされている.得られた間葉細胞は胎児由来であり、極めて増殖能力が高い.また、骨髄由来の間葉細胞に比較しても寿命が長いと思われ、分裂回数が多い.臍帯血バンクに使うことができない血液を今後は研究用に使用することが可能になる手続きが進められており、臍帯血は間葉細胞の重要な供給源のひとつとなりえる.間葉系細胞とは骨、軟骨、脂肪、骨格筋、真皮、靭帯、腱といった結合織細胞を総称しており、発生学的に中軸中胚葉由来の細胞である。また、この中軸中胚葉の他に、心筋、平滑筋、血管内皮といった発生学的に臓側中胚葉由来の細胞がある.
臍帯自体は、胎児と胎盤をつなぐひもであり、表面は羊膜の単層立方上皮で被われている.臍帯は、2本の臍動脈、1本の臍静脈を含む.これらの血管の間を埋めている結合組織は原始的な結合組織であり、膠様組織またはWharton's jellyと呼ばれる.菲薄な突起をのばす細網細胞(ここでは間質細胞または間葉系細胞と同義)が粗い網目をなし、細胞間質には膠原線維が不規則に走り、基質はグルコサミノグリカン(酸性ムコ多糖類)に富む粘液様の物質でできている.
このような臍帯だけに存在するのではなく、これに似た組織は胎児の結合組織にも見られる.胎齢6ヶ月までの真皮は寒天のようであり、このような真皮は膠様組織の状態にある.臍帯血の間葉系細胞の章で臍帯の構造を議論するのも、臍帯血の検体に含まれる間葉細胞が臍帯血をとるときに臍帯中にふくまれるWharton jellyに存在する間葉細胞が採取されてしまっている可能性は否定できず、本当に血液中に含まれているのかどうかは疑問が残っているためである.Wharton jelly由来であるという議論は残るがほとんどの論文では臍帯血からある割合で間葉系細胞が採取されるというのが現在のところの結論である.
この臍帯血の議論は、末梢血でも言えるかもしれない。
Sunday, March 25, 2007
臍帯血由来の間葉系幹細胞
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