Sunday, March 4, 2007

一昨年の話

 一昨年の夏のフィナーレを飾るような暑さが続く8月27日の新聞・テレビに、骨髄細胞を重症の心臓病に移植することで成果をあげた許俊英教授と五條理志講師の発表が伝えられた.重症の心臓病に対して骨髄細胞を注入する再生医療は、当時(2005年9月25日)で6例目であるけれども、補助人工心臓を外せるような状態まで回復した例は少ないとされる.実際には患者さんの腸骨から骨髄細胞を採取し、有核細胞を遠心分離し、カテーテルを使用して壊死した心筋細胞の冠動脈に移植した.細胞移植が、予想されるような副作用がなく、心臓における血管新生に作用したのであれば、それは極めて好ましいことである一方、十分に今回の「再生医療」の意義を検証する必要がある.話には聞いていたものの、日本経済新聞に掲載されたように男性患者さんが花束を看護師さんから受け取って退院するカラーの写真をみることは、前臨床研究を一緒に進めてきた者のひとりとして嬉しい.



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