Cardiomyogenic differentiation of human menstrual blood-derived mesenchymal cells (MMCs) was observed in vitro. Immunocytochemistry revealed a clear striation pattern of cardiac troponin-I (red) in about 30% of GFP-positive (green) MMCs. The GFP and troponin-I staining were observed alternately in a striated manner, suggesting that troponin-I is expressed in the GFP-positive cells.
Thursday, July 31, 2008
エピジェネティクスを用いた細胞の規格化
Tuesday, July 29, 2008
ES由来erythroid細胞株
マウスES由来erythroid細胞株 2 x 10^7個で、2 ul分の血液になる。
ES由来erythroid細胞株は、生体内で貧血を治すことが可能である。除核された赤血球は腫瘍化しない一方、赤白血病の可能性は増すと私は考える。学問的な価値は高い。
DNA methyltransferase
DNMT3aと3bは、de novo methyltransferaseである。Dnmt3aがDNAが露出したリンカー部分を効率よくメチル化するのに対し、Dnmt3bはヒストンが巻き付いているヌクレオソーム・コアをメチル化する。Dnmt3aは特定領域のメチル化に、Dnmt3bはゲノムワイドなメチル化模様の形成に関与すると考えられる。
この生化学的な結果は、生物学レベルでの機能と直接リンクしていると考えられる。どうリンクしているかを考えるのは重要である。
再生医療における細胞起源と発生過程における細胞起源
骨髄由来の間葉系細胞はFriedensteinにより初めて報告され、骨髄由来の間質細胞・間葉系細胞はCFU-f(Colony-forming unit-fibroblasts)として定量するアッセイが開発された(Friedenstein AJ, Deriglasova UF, Kulagina NN, Panasuk AF, Rudakowa SF, Luri?? EA, Ruadkow IA. Precursors for fibroblasts in different populations of hematopoietic cells as detected by the in vitro colony assay method. Exp.Hematol. 2:83-92, 1974)。間葉系幹細胞の起源を議論する上で、気をつけなくてはいけない点として、間葉系幹細胞は本来は発生過程において生体内で存在している細胞であるが、実際の多くの報告は決して生体内における間葉系幹細胞を指しているわけではなく試験管内において適切な条件の元で増幅させた培養された間葉系幹細胞を指していることがあげられる(Pittenger MF, Mackay AM, Beck SC, Jaiswal RK, Douglas R, Mosca JD, Moorman MA, Simonetti DW, Craig S, Marshak DR.: Multilineage potential of adult human mesenchymal stem cells. Science 284: 143-147, 1999)。発生過程や生体内において間葉系幹細胞としての性質を有していなくとも、前述したような骨髄、臍帯血、臍帯、胎盤、月経血、子宮内膜、胎児、真皮、脂肪、末梢血に由来する培養皿に付着する形で増殖する細胞が生体外で増幅される過程で幹細胞性(多分化能と自己複製能)を獲得する可能性がある。近年、注目されている間葉系幹細胞を用いた再生医療においても、種々の組織を培養した後に行われており、一般的な組織再生とは異なり、同時に造血幹細胞とは概念的に異なるものである。
Monday, July 28, 2008
間葉系組織の発生
●間葉系組織の発生
間葉系細胞は、その起源が中胚葉であれ神経堤(外胚葉由来)であれ、胎児の結合組織を形成し、軟骨芽細胞、骨芽細胞など多様な細胞に分化できる能力をもつ。そもそも、間葉系幹細胞を含むと考えられている組織である骨、軟骨、脂肪といった組織のほとんどは中胚葉から体節を経て分化する(図1A)。骨は、大部分は中胚葉(沿軸中胚葉、側板中胚葉)に由来するが、頭部の一部の骨は外胚葉(神経堤)に由来する(図1 B, C)。すなわち、頭部の神経堤の細胞は、間葉に分化し、頭蓋骨の一部を作る。頭蓋は、脳をつつむ神経頭蓋と顔面頭蓋に分けられる。神経頭蓋はさらに膜性神経頭蓋と軟骨性神経頭蓋の2つに分けられる。膜性神経頭蓋は頭蓋冠となる部分であり、これらの骨は神経堤より発生する。一方、下垂体より前方の軟骨は神経堤由来で、それより後方の軟骨は沿軸中胚葉より発生する。顔面頭蓋の発生の面から見ると、第1 ・2 鰓弓内部の間葉組織が顔面頭蓋の形成に大きく関与する。この鰓弓内部の間葉組織は神経堤由来つまり外胚葉性であることが、大きな特徴である.神経堤細胞は、脊椎動物の胚発生において、神経板の陥入過程でその両縁に生ずる外胚葉由来の細胞集団で、自己再生能と多分化能を有する幹細胞としての性質を備えている。神経堤細胞の最も際だった特徴は、遊走によって胚に広く分布し、神経細胞やグリア細胞・皮膚色素細胞・副腎髄質細胞・顎顔面の間葉細胞(骨・軟骨など)・血管平滑筋細胞など実に多彩な細胞に分化する。こうした分化の運命は、発生する領域の位置情報とともに、遊走した先の細胞外環境によって決定されると考えられている。
暑い
熱ショックで、ヒト胎児性がん細胞はextraembryonic ectodermに分化するんだよね。10年くらい前に論文として、発表したんだけど、iPSは熱で分化するのかね。
Sunday, July 27, 2008
間葉系幹細胞の復習と今日の研究室から見える夕焼け
間葉系幹細胞は、英語ではMesenchymal stem cellとなり、間葉系幹細胞の供給源のひとつであり最も利用されている骨髄間質細胞は英語でMarrow stromal cellとなり、いずれもMSCと略される。少数だが、Multipotent stromal cellとの呼び方を提唱する研究者もいる。多くの場合、いずれも略語でMSCとして示されるのできわめて紛らわしい。その一方、骨髄間質細胞の一部に間葉系幹細胞があることは間違いないので、似たような言葉で異同をはっきりさせずに使用している場合もある。間葉系幹細胞の間葉とは中胚葉に由来する胎生期結合織を指し、間質細胞とは組織で機能する細胞が存在するところで支持構造を形成する結合織細胞を指す。これらの間葉系幹細胞を説明する記述は正確ではあるものの、近年における組織修復または再生医療における間葉系幹細胞の役割とは異なる。
間葉系細胞とは骨、軟骨、脂肪、骨格筋、真皮、靭帯、腱といった結合織細胞を総称しており、発生学的に沿軸中胚葉(paraxial mesoderm)由来の細胞である。1999年、ヒト間葉系幹細胞から骨、軟骨、脂肪に分化する多分化能を有する間葉系幹細胞を同定したという報告をPittengerらが行った。また、この沿軸中胚葉の他に、心筋、平滑筋、血管内皮といった発生学的に臓側中胚葉(visceral mesoderm)由来の細胞があり、間葉系幹細胞のなかに臓側中胚葉にも分化できる幹細胞が見出された。またさらに、一部の間葉系幹細胞は、神経上皮由来である(文献1)。間葉系幹細胞は、分化能に応じて階層構造を形成しているものと考えられている。このような間葉系細胞の供給源として、骨髄、臍帯血、臍帯、胎盤、月経血、子宮内膜、胎児、真皮、脂肪、末梢血等があげられる。
1.江良択実、高島康弘、西川伸一。 間葉系幹細胞の起源。 蛋白核酸酵素、53(1): 59-64, 2008
先天性代謝異常疾患に対する間葉系幹細胞移植と造血幹細胞移植
Allogeneic mesenchymal stem cell infusion for treatment of metachromatic leukodystrophy (MLD) and Hurler syndrome (MPS-IH).
Division of Hematology/Oncology, Department of Medicine at Case Western Reserve University and University Hospitals of Cleveland, Cleveland, OH 44106, USA.
Patients with Hurler syndrome (mucopolysaccharidosis type-IH) and metachromatic leukodystrophy (MLD) develop significant skeletal and neurologic defects that limit their survival. Transplantation of allogeneic hematopoietic stem cells results in partial correction of the clinical manifestations. We postulated that some of these defects may be corrected by infusion of allogeneic, multipotential, bone marrow-derived mesenchymal stem cells (MSC). Patients with Hurler syndrome (n = 5) or MLD (n = 6) who previously underwent successful bone marrow transplantation from an HLA-identical sibling were infused with 2-10 x 10(6)/kg MSCs, isolated and expanded from a bone marrow aspirate of the original donor. There was no infusion-related toxicity. In most recipients culture-purified MSCs at 2 days, 30-60 days and 6-24 months after MSC infusion remained of host type. In two patients the bone marrow-derived MSCs contained 0.4 and 2% donor MSCs by FISH 60 days after MSC infusion. In four patients with MLD there were significant improvements in nerve conduction velocities after MSC infusion. The bone mineral density was either maintained or slightly improved in all patients. There was no clinically apparent change in patients' overall health, mental and physical development after MSC infusion. We conclude that donor allogeneic MSC infusion is safe and may be associated with reversal of disease pathophysiology in some tissues. The role of MSCs in the management of Hurler syndrome and MLD should be further evaluated.
一方、造血幹細胞移植は、先天性代謝異常症候群に対し有効と考えられるが、ドナー細胞の生着、GVHDの問題が残る。先天性代謝異常症候群に対する造血幹細胞移植の結果を、東海大学の加藤俊一教授がまとめました。その報告は、極めて重要な意義があると考えています。先天性代謝異常症候群の患者に対しては、疾病により、骨髄移植、酵素補充療法、肝移植等の治療が行われていると理解しております。
報告の一部です。
患者141例について、その臨床的特徴、移植方法、移植結果、治療効果を検討した。
移植の対象となった疾患としてはムコ多糖症が最も多く(72例)、全体の半数を占めていた。次いで副腎白質ジストロフィー(ALD)が38例であった。男女比では男性が113例、女性が28例で圧倒的に男性が多かった。
初回移植のドナーは74例が血縁者(同胞63例、父親5例、母親6例)、67例で非血縁者であり、108例でHLAが一致していた。移植細胞源は113例で骨髄、1例は末梢血幹細胞、1例で骨髄+末梢血幹細胞、22例で臍帯血であった。
99例(70.2%)では初回移植でドナー由来の永続的な生着が得られ、35例(24.8%)では拒絶されていたが、15例で再移植、1例では再々移植が行われ、最終的には114例(80.9%)が生存中で、27例(19.2%)が死亡していた。
ドナー細胞の生着が得られた上での生存(無イベント生存)に有意に有利に相関していた因子としては移植細胞源としての骨髄、同胞ドナー、HLA適合、非照射前処置(ブスルファン主体の前処置)などであったが、多変量解析では移植細胞源が骨髄であるか臍帯血であるかのみが有意な因子となっていた。
Saturday, July 26, 2008
「幹細胞の産業化に向けて」というシンポジウム
青海の東京国際交流会館という、とてもきれいな会議場にて、「幹細胞の産業化に向けて」というシンポジウムが開催され、行って参りました。一部の発表は、新聞で記事になっていました。幹細胞及びiPS細胞の産業化での障壁は何か?との問いに、宮田満氏が、「まず、iPS細胞をばらまけ。」とおっしゃっていたのが印象的でした。再生医療に、産業界の参入が必要不可欠なのは議論の余地がありません。再生医療の分野ではキャッシュフローがほとんどないので、産業界は我慢を強いられているのが現状と理解しております。そのため、大手の製薬会社は参加せず、ベンチャーが生死をかけて挑戦しているように見受けられます。そこでも、我慢できる限界をさぐられているような厳しい事実があります。質問に対しての答えのひとつとして、わたしは「角膜に対する上皮シートを用いた再生医療といったような成功体験を増やしていくことしかないように思う。」とお答えしました。もうひとつは、言い古されて恐縮ですが、「腫瘍化といったリスクに対して、ゼロリスクを求めることなく、リスクを科学の力を借りて正確に記述し、再生医療を享受する者に利益と不利益のバランスを説明し、医療側と一緒に細胞移植を受けるべきかどうかを判断していくことである。」と申し上げました。
Friday, July 25, 2008
質疑応答(改変済み)
・ どちらも筋肉になりやすい。心筋になる場合には胎児心筋のフィーダ細胞を用いています。
・ 全ゲノムのメチル化を解除するような5-アザシチジンを細胞にかけると、月経血は骨格筋になります。心筋をフィーダにして、月経血に5-アザシチジンをかけると心筋になります。
・ 間葉系細胞は、間充織を生める細胞として十羽一絡げに間葉細胞と言われているが、上皮細胞と同じように組織により、その初期値が異なるということです。そして、この大きな差を際立たせるのに5-アザシチジンは有用です。
・ 癌でも、5-アザシチジンの脱メチル化する遺伝子に順番があることが分かってきました。エピジェネティク修飾が何処まで行われているかが色々あるということですね。
・ 再生医療は癌と比較すると今は小さいけれども、うまくいきだせば増えてくると考えていますか。
・ 再生医療は、癌のような蓄積型の病気には効果がありませんが、細胞、組織が壊れていく変性疾患には有用な治療法です。
・ 再生医療は、心臓疾患、糖尿病のような一般的な疾患でどのようになるかは、期待されているものの現時点ではどのように発展するかについては分かりません。
・ 壊れるということでは、機能が低下して壊れるというのと、細胞がいきなり壊れていくという2通りあると思いますが、機能が低下して壊れていくほうにエピジェネティクスが関係していると思います。
・ 環境で病気になりやすいヒトなりにくいヒトが、SNP等で調べられていますが、細胞の規格化にはどうでしょうか?
・ 細胞の規格化にはSNPはまったく無効だと思います。
・ 再生医療の規格化にはエピジェネティクスしかないということです。
・ 規格化に関しては、1点が癌で、すぐに実施しなければいけないのが、移植する細胞が骨になるかならないかを1日で決めるということですが、in vitroで細胞を取り扱っていると、正常でもないし癌でもないといったことが心配になりませんか?
・ とっても心配です。先ほどの5-アザシチジンでも心配です。自分で5-アザシチジンをかけておいて検証しろというのも変ですが、そういうことです。
・ かけるのにエピジェネティクスの修飾剤も欲しいし、同時にそれが安全であるとの保証をエピジェネティクスの解析から検証して欲しいわけです。
・ 先ほどのdystrophinの実験では月経血の10%の細胞で発現していますが、実際に治療に使用するとなると、どれくらいの細胞が必要になりますか?
・ 心筋と呼吸に関する筋肉が必要なのでかなりの量が必要になります。実際カナダでは両親の骨格筋を移植していますが、とても足りません。現在可能であろうと考えているのが、月経血、胎盤のバンクか、ユニバーサルセルであるESか、iPS、精子から取ってくる細胞になるのではないかと考えています。言い換えると死ぬべき細胞であるが大量にあるもの、または、不死の細胞ということになります。
・ 女性は助かりますよね?
・ そうです。そして女性の細胞を用いて子供も救えるというわけです。
・ 今までメディカルウエイストといわれていた月経血、胎盤をきちっとした規格でバンク化する必要があるということです。
・ 再生医療的に分化するか、しないか色々やってみて調べていくアポローチと、エピジェネティクスを調べて、こうすれば分化するはずだというアプローチとどちらが有効と考えますか?
・ どちらも有効だと考えます。後のほうはやったことがありません。実際にやってみてうまくいくかどうか研究しているのが再生医療の研究者です。
・ iPS細胞のエピジェネティクスも研究したほうがよいと考えますか?
・エピジェネティクスを次世代シークエンサーにより、全塩基配列を決めることは意義があると思います。
Thursday, July 24, 2008
講演記録
エピジェネティクス産業の出口を再生医療とするときの具体的なアプローチが、2点あると考えております。
第1点はエピジェネティクス修飾剤の開発、第2点はドナー細胞の規格化である。
始めの、エピジェネティクス修飾剤の具体的なものとしては、分化誘導剤と脱分化誘導剤が挙げられ、分化誘導剤としては5-アザシチジンのような脱メチル化剤を考えている。5-アザシチジンは、米国では、Phamion社が骨髄異形性症候群の治療薬として販売しており、自分も分化誘導剤として使用している。これとは逆に脱分化誘導剤、同様にエピジェネティクスを変化させるクロマチン修飾剤があります。例えば、山中京大教授のiPS細胞作成で使用された癌遺伝子c-myc,Klf-4は、細胞が癌化する可能性が考えられるので、それに代わる低分子の修飾剤が得るのはどうかという提案です。
第二点は移植のドナー細胞の規格化です。具体的にはT-DMR(Tissue-dependent, Differentially Methylated Region)を短時間で検証するソフトを開発し、それによりドナー細胞の分化形質の担保が出来ないかということ。更に、産業化している移植医療の安全性を担保するためにドナー細胞の腫瘍化可能性を、癌遺伝子p16、RB等の遺伝子のエピジェネティクな変化を網羅的に解析し、形質転換可能性のCut off値を設定し、移植可能性を担保出来ないかといことです。
始めに再生医療について説明します。
肝臓が再生することは、「プロメテウスは、ゼウスによりカウカソス山の山頂に縛り付けられ毎日その肝臓をハゲタカに食われていたが夜中に再生した」という神話が示すようにギリシャ神話の昔から分かっていました。更にアルコール性肝硬変の患者の肝臓でも、粒粒の再生部分が観察され、肝臓の再生が行われることがわかります。また、成育医療センターでは年間25例肝臓移植が行われますが、残された部分、移植された部分が元の大きさに戻ります。即ち肝臓は再生すると言うことです。しかし、一方心臓は再生しませんので、心筋梗塞を起こすと心筋細胞が死滅するのみであります。
実際どの程度再生医療が進んでいるかというのが次のスライドです。
成育医療センターは、爪の先から月経血までヒトの各種組織の体細胞の供給源、バンクとして機能しています。研究用の細胞は理研(筑波)より、医療・産業界用のものは医薬基盤研から入手可能です。これらのチップ情報は、NCBIのGEOに寄託してある。
そのほかに誰が何処でも使用できるuniversal細胞として、ES細胞、iPS細胞、精巣細胞があります。本当に同じ特徴を有しているかは不明です。
再生医療の例としてDuchenne型筋ジストロフィーの治療について解説する。幼少期に発症し、進行性の筋萎縮による筋力低下が起こり、多くは20歳代に心不全、呼吸不全で死亡する。筋ジストロフィーの中で最も頻度が高いx連鎖劣性遺伝性疾患で、男児の3,500人に一人が発症する。原因はDystrophinの異常で骨格筋でのdystrophinの欠損が起きることです。我々の携わる再生治療では、月経血からの細胞(脱落してきた子宮内膜細胞)にDNAメチル化阻害剤である5-アザシチジンを用いて骨格筋細胞に分化させています。
このDNAメチル化阻害剤である5-アザシチジンは、骨髄異形成症候群に対する適応で世界で始めてFDAに承認された薬で、症状を改善し、輸血の必要性をなくし、白血病の発現を遅延させました。2004年7月の米国発売以来医療機関に広く受け入れられ、2004年度の売上高は100億円程度になっています。その作用メカニズムはDNAのメチル化を阻害することで遺伝子の配列を変化させることなく、クロマチン構造を変化させ遺伝子の発現を変化さ、腫瘍性増殖の抑制をすることです。また、5-アザシチジンの誘導体である5-aza-2ユ-deoxycytidine(Decitabine)も、ハイリスクの患者に5-アザシチヂン異常の有効性が期待されています。
骨髄異形成症候群とは、白血病に移行する前の前白血病のことで、元都知事の青島幸男氏が亡くなられた病気です。この病気で使用されている5-アザシチジンを再生医療で使用できないかと言うことです。下図に見られるように、ヒトの月経血を用いモデルマウスで移植した細胞の10%程度でDystrophin発現陽性になります。
将来問題になる可能性があるのは、抗癌剤である5-アザシチジンを使用していることで、特に、がん専門の先生方が問題にするかもしれません。ここで使用している月経血とは、螺旋動脈が痙攣し虚血により月経1日目に落下してきた子宮内膜の細胞で、とっても良く増殖します。
医療の現場ではどうかと言うと、細胞医療と再生医療の現状で、難治性の心不全の患者8例に、国立循環器病センターで骨髄の間葉系細胞を打ち込んでいます。実際に移植した細胞が心筋になった事実は無いのですが、確実に効果が出ています。実際にはカテーテルを用いて心筋組織に10の9乗の細胞を打ち込みました。
ここで言いたい事は、再生医療でメチル化阻害剤を分化誘導剤として用いることができるかどうかと言うことです。その一方、がんのリスクと同じリスクもあります。さて、間葉系の細胞である月経血と同じ間葉系の細胞に癌遺伝子c-Myc、Klf4を用いて万能細胞であるiPS細胞を作成しています。しかし、これら癌遺伝子を用いることは難しいと思われるので、代わりに脱分化誘導剤として、クロマチン修飾剤を使用することが出来るかということです。言い換えると、エピジェネティク修飾剤のin vivoスクリーニング系ができるかどうかと言うことです。
細胞分化とエピジェネティクスの関係を簡単に説明します。発生が進むと細胞は多分化能を失っていき,ある限られた細胞にしか分化できなくなる.多分化能を有する細胞からある系統にしか分化できない細胞への移行は,細胞の潜在性の消失または遺伝子発現の制限にほかならない.細胞特異的な遺伝子の発現は,細胞特異的な転写因子による転写活性と細胞特異的なゲノムのメチル化による転写抑制があり,どちらの影響がより強いかは細胞ごと及び遺伝子ごとに異なる.組織幹細胞の分化における制限はゲノムのメチル化にあり、その構造を意識し改変することが再生医療おける細胞転換のきっかけとなる.
このような科学的な根拠を基盤として、既に動き出している再生医療において、委員である塩田先生が精力的に研究しているT-DMRを用いて細胞の規格化をしたい。組織の細胞は培養するとメチル化が固定します。変な話ですが、メチル化の状態が分化状態に反映するのではなく、分化状態がメチル化の状態に反映するわけです。このメチル化の状態を検査し分化形質を担保できるかどうかということです。言い換えると、細胞を心臓に移植する前に、この細胞が骨に分化しないことを担保するような判別式ができないかと言うことです。判別式が出来、更に、エピジェネティクス検査、メチル化検査を一日で出来る機械が出来れば、移植前にドナー細胞の移植可能性の検討が可能になります。もう一つは、癌遺伝子のプロモーター領域を網羅的に解析して、判別式を作成し、移植するドナー細胞の腫瘍化の可能性のCut off値を決めようと言うものです。
再生医療は癌と比べると研究費が少ないが、再生医療はNEDOの動向調査に見られるようにかなりの規模で進展しています。
そこで、GeneChip解析のAffymetrix社のビジネスモデルを参考に、細胞の初期状態、有用細胞のスクリーニング、発がん関連遺伝子解析により安全性検証するエピジェネティクス産業を興そうというのが今回の提案です。まず始めに、どんな稚拙なものでもいいから、プラットフォームを上市しデファクトスタンダードを作ろうというものです。何故かというと、はじめにデータを取ると、後で比較するためにはプラットフォームの変更ができなくなるので、どんな稚拙なものでもデファクトスタンダードを創ろうと言うことです。例えば我々の仕事でも骨髄で得られたデータを月経血で取る時も同じプラットフォームを使用しています。だから、エピジェネティクス産業のデファクトスタンダードを早く作り、新産業を興そうというのが私の提案です。
Saturday, July 19, 2008
幹細胞を用いた臨床研究関連資料、政府機関のリンク先
幹細胞を用いた臨床研究関連資料、政府機関のリンク先(山本雄二氏による)
まず、米国関係です。
FDA http://www.fda.gov/default.htm
FDA/CBER http://www.fda.gov/cber/index.html
FDA Cellular & Gene Therapy Publications
http://www.fda.gov/cber/genetherapy/gtpubs.htm
1)Tissue Rules
・Title 21 Code of Federal Regulations / Sec 1271 (21CFR 1271) http://www.access.gpo.gov/nara/cfr/waisidx_07/21cfr1271_07.html
・Guidance for Industry: Eligibility Determination for Donors of Human Cells, Tissues, and Cellular and Tissue-Based Products - 8/8/2007
http://www.fda.gov/cber/gdlns/tissdonor.htm
2)Cellular & Gene Therapy Rules
・Guidance for FDA Reviewers and Sponsors: Content and Review of Chemistry, Manufacturing, and Control (CMC) Information for Human Somatic Cell Therapy Investigational New Drug Applications (INDs) - 4/9/2008
http://www.fda.gov/cber/gdlns/cmcsomcell.htm
・Guidance for FDA Reviewers and Sponsors: Content and Review of Chemistry, Manufacturing, and Control (CMC) Information for Human Gene Therapy Investigational New Drug Applications (INDs) - 4/9/2008
http://www.fda.gov/cber/gdlns/gtindcmc.htm
3)その他(考え方等)
・Points to Consider in the Characterization of Cell Lines Used to Produce Biologicals ミ 7/12/1993
http://www.fda.gov/cber/gdlns/ptccell.pdf
・Application of Current Statutory Authorities to Human Somatic Cell Therapy Products and Gene Therapy Products; Notice - 10/14/1993
http://www.fda.gov/cber/genadmin/fr101493.pdf
・Proposed Approach to Regulation of Cellular and Tissue-Based Products - 2/28/1997
http://www.fda.gov/cber/gdlns/celltissue.pdf
・Reinventing the Regulation of Human Tissue
http://www.fda.gov/cber/tissue/rego.htm
http://www.fda.gov/cber/tissue/regotab.pdf (Table)
次に欧州(EU)関係です。
EMEA http://www.emea.europa.eu/
EMEA / Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP)
http://www.emea.europa.eu/htms/general/contacts/CHMP/CHMP.html
EudraLex / The Rules Governing Medicinal Products in the European Union
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/index.htm
1) Tissue Rule
・ The tissues and cells directive (2004/23/EC)
http://www.who.int/ethics/en/ETH_EU_Directive_2004_23_EC.pdf
2) GCP Rules
・ The clinical trials directive (2001/20/EC、2005/28/EC)
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/vol-1/dir_2001_20/dir_2001_20_en.pdf
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/vol-1/dir_2005_28/dir_2005_28_en.pdf
3) Authorization Rules
・ the medicinal products directive (2001/83/EC, 2003/63/EC)
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/vol-1/dir_2001_83/dir_2001_83_en.pdf
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/vol-1/dir_2003_63/dir_2003_63_en.pdf
・ the medical devices directive (93/42/EEC)
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=CELEX:31993L0042:EN:HTML
・ Regulation on Advanced therapy medicinal products (Regulation (EC) No 726/2004)
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/vol-1/reg_2007_1394/reg_2007_1394_en.pdf
4) GMP Rules
・GMP directives (2003/94/EC)
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/vol-1/dir_2003_94/dir_2003_94_en.pdf
・EU Guidelines to Good Manufacturing Practice Medicinal Products for Human and Veterinary Use
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/homev4.htm
5) Guideline on human cell-based medicinal products (EMEA/CHMP)
http://www.emea.europa.eu/pdfs/human/cpwp/41086906en.pdf
6) Pharmacovigilance Rules
・EudraLex Volume 9A(Pharmacovigilance for medicinal products for Human use)
http://ec.europa.eu/enterprise/pharmaceuticals/eudralex/vol-9/pdf/vol9_2007-07_upd07.pdf
最後に、英国関係です。
MHRA http://www.mhra.gov.uk/index.htm
HTA (Human Tissue Authority) http://www.hta.gov.uk/
HFEA (Human Fertilisation & Embryology Authority) http://www.hfea.gov.uk/
National Institute for Biological Standards and Control http://www.nibsc.ac.uk/
UK Stem cell Bank http://www.ukstemcellbank.org.uk/
1) Tissue Rules
・the Human Tissue Act (2004)
http://www.opsi.gov.uk/acts/acts2004/ukpga_20040030_en_1
2) ES cells Rules
・The Human Fertilisation and Embryology (HFE) Act (1990)
http://www.opsi.gov.uk/acts/acts1990/Ukpga_19900037_en_1.htm
・Code of practice for the use of human stem cell lines (UK stem cell Bank, 2005)
http://www.ukstemcellbank.org.uk/documents/Code%20of%20Practice%20for%20the%20Use%20of%20Human%20Stem%20Cell%20Lines.pdf
3) GCP Rules
・UK Statutory Instrument 2004 No.1031(The Medicines for human use clinical trials regulations)
http://www.opsi.gov.uk/si/si2004/20041031.htm
4) GMP Rules
・The Code of Practice for the Production of Human-derived Therapeutic Products (MHRA, 2002)
http://www.mhra.gov.uk/home/idcplg?IdcService=GET_FILE&dDocName=CON007432&RevisionSelectionMethod=LatestReleased
移植細胞の腫瘍化における検証---米国FDA
今年の3月3日(ひな祭りの日)に米国NIHのベセスダ・キャンパスにて、FDA/CBER(米国食品医薬品局・生物評価研究センター)にて、副所長と部長二人を公式訪問しました。「公式」というのは、政府のdelegatesとしておじゃまして議論したという事です。
以下は、一緒に行ってお世話になった石井さんの再生医療における移植細胞の腫瘍化に関する報告です。
審査
連邦広報に掲載しているPoints to Consider(技術的考慮事項)の審査基準や、アドバイザリー委員会の見解に基づき科学的に実施している。審査基準については、具体的な数値、カットオフ値は設けてない。なぜなら、CBERは、個々の製品で状況が異なり、これらの製品に対する規制フレームワークの柔軟性を確保しなければならないからである。すなわち、審査はケースバイケースで科学的に実施している。たとえば、腫瘍原性については、テラトーマや悪性腫瘍の発生が起こるかヌードマウスなどへの移植し、基本は1年モニターする(注.93年のPoints to Considerでは12週と記載あり)が、この観察期間は、個々の場合により異なる。同様に、ゲノム不安定性をKaryotypeで示すのか、テロメア長でみるのか、いろいろなアプローチがあるが、FDAとしては科学的に実証できれば問題ない。
石井哲也さん、山本雄士さん、そして、厚生労働省の梅垣昌生専門官、お知り合いになれて本当にうれしいです。
その日は、ひな祭りにあたるため、日本にて雛あられを購入し、米国滞在の国家公務員(日本・米国両方)に配りました。しつこいようですが、自腹です。
1)ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成13年9月25日文部科学省告示第155号)、ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針(平成19年5月23日文部科学省告示第87号)
http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/32_165.pdf
2)ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成12年11月30日法律第146号)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/2001/hai3/1_houritu.pdf
3)特定胚の取扱いに関する指針(平成13年12月15日文部科学省告示第173号)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/seimei/2001/hai3/17_shishin.pdf
4)ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(平成18年7月3日厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/iryousaisei01/pdf/01.pdf
5)ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質及び安全性確保について(通称1314号通知)平成12年12月26日医薬発第1314号厚生省医薬安全局長通知
http://www.pmda.go.jp/operations/shonin/info/report/saibousosikisinsei/file/1314goutuuti.pdf
6)ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保について(平成20年2月8日薬食発第0208003号 医薬食品局長通知)ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針
7)ヒト(同種)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保について(平成20年9月12日薬食発第0912006号 医薬食品局長通知)ヒト(同種)由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針
8)遺伝子治療臨床研究に関する指針(平成14年3月27日策定、平成16年12月28日全部改正、文部科学省・厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/idenshi/0504sisin.html
9)平成19年度厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業「胚性幹(ES)細胞臨床指針作成に向けた課題検討のための予備研究」平成19年度総括研究報告書(主任研究者:中内啓光),平成20年4月
10)文部科学省研究振興局長通知「ヒトES細胞等からの生殖細胞の作成等に係る当面の対応について」(平成20年2月21日、19文科振第852号)
http://www.cdb.riken.jp/hsct/pdf/tutatsuiPS.pdf
現実的対象疾患---ES細胞移植---
筋ジストロフィー
既に免疫抑制を受けている患者(腎移植患者への、I型糖尿病に対する膵β細胞移植)
Wednesday, July 16, 2008
Tuesday, July 15, 2008
ゴジラのクローンを作成する際に利用する骨髄間質細胞
骨髄間質細胞の使い方を伝達システムに使用するよりも、ゴジラのクローンを作成する際に利用する細胞核を供与する細胞として利用する方がいいだろう。未受精卵は何だっていいけど、ゴジラの胎児を発生させる個体はクジラがいいだろうか、象がいいだろうか。そういえば、ミニラというゴジラの子どもがいたが、母親は誰だ。
ツールとインターフェイス
TFさんとの話です。
脳科学は、研究対象として、極めて興味深い。特に、意識、自我、記憶、思考としった高次機能がどのようなメカニズムで支えられているのかを知りたい。興味深い研究対象であるにもかかわらず、発生学研究のツールとなった分子生物学のようなキレの良い解析方法が脳科学にないために、どうしても面白いのか面白くないのか分からないような論文が有名誌に並んでしまうような気がします。なんか良いツールがあるといいのですけど。もちろん、わたしは年齢を考えるとその分野に入る可能性は全くございませんが、興味深い対象であり、意識、自我、記憶、思考としった高次機能がどのようなメカニズムで支えられているのかを知りたい。
コンピュータ上に新たに意識をつくることは可能かもしれないという考えを聞いたことがあります.一歩進んで,意識だけならその個人と同一のものをコンピュータ上に再現できるという夢物語があります.意識のクローンがコンピュータにできるわけです.コンピュータに自分の記憶と考え方のアルゴリズムを教えこみ自我(自分は誰だれであるという意識)を与えた場合,人間と同じ意識が生れてくるという楽観的な考え方です.楽観的ではあるけれども、大変,魅力的な考えです.しかし,この考えは,初めはあまり私を喜ばせませんでした.自分自身がコンピュータの中にいることを考えると嬉しくないと言うことです.ネットワークを介して世界中を駆けめぐることができてもいやです.計算能力が高いとほめられても,当然嬉しくありません.その説をTFに話したら「インターフェースがむずかしいね.」と言われました.誠にその通りで,ずっとコンピュータの中にいるのであればかまわないのだが,人間の形のなかにいるには,人間の器官とのあいだでいろいろと信号のやり取りをしなくてはいけません.より詳細にいえば,イカの塩辛を食べれば塩辛いと感じなくてはいけないのだが,その舌の情報を神経のシグナルで伝えてもうまくいきません.何らかの別のコンピュータが理解できる情報に変換していなくてはいけません.
ここで言うツールとはキレのいい解析方法を指し、インターフェイスとは味を意識する変換ソフトを指す。分かりやすい言葉を利用することで、ややこしい概念が一発で理解できるという例を挙げてみました。TFさん、ありがとう。
CMG beating
Shown is a movie for CMG beating.
Or the youtube file for KUM2 beating is available at:
http://akihiroumezawa.blogspot.com/2008/07/beating.html
CMG beating
http://www.youtube.com/watch?v=wSxUPik287I
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Monday, July 14, 2008
Calcium Imaging法---筋芽細胞へ
筋芽細胞は、Acetyl cholineや高カリウム刺激なしに、カルシウムの流入があるらしい。ついでに言えば、myogeninが発現するようになると、Calcium Imaging法で反応しないらしい。神経とは、違うね。ついでに言えば、軟骨細胞とは違うね。
引用
http://hikitaiin.blog101.fc2.com/blog-entry-6.htmlからの引用です
B.先進医療※注2)の指定を受け、一部施設で先進医療として実施されているもの
・閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓血管炎(バージャー病)という、主に下肢血管の閉塞する虚血疾患があります。下肢の冷感と痛みを主症状として、重症化すると下肢壊死を来たし切断治療が必要となることもあります。この疾病に対して自己の骨髄幹細胞/末梢血単核球/末梢血幹細胞をそのまま/もしくは培養して、局所に注射して血管の再生を促す方法が先進医療として行われています。筋肉に移植細胞を注射するのは数十ヶ所に及ぶため、腰椎麻酔下で行います。1999年以後国内で急速に広がり、全国20ヶ所以上の認定施設で行われています。ある程度の治療効果が認められてきているものの、数年後には効果が落ちてくるという報告もあります。
※注2)先進医療:先進医療とは、大学病院などで実施される未だ保険承認に至らないものの有効性と安全性がおおむね確立しつつある先端医療のうち、厚生労働大臣の承認を受けたものです。例外的に保険診療との併用が認められており、保険対象外である先進医療の特別料金部分は全額自己負担となりますが、通常の保険診療との共通部分(診察,入院,投薬など)には保険が適応されて一部自己負担金(通常被保険者3割)の支払いとなります。それまでの「高度先進医療」が平成18年10月1日の健康保険法の一部改正に伴い、制度再編されて先進医療と称されるようになっています。
Technical Report (TR)
TRって,言葉をご存知でしょうか。標準報告書というものらしく、JIS規格の元になるものらしい。工業標準化法の規定に基づいて日本工業標準調査会の審議を必要とするものらしい。そもそもは工業製品を製造する作業の標準化のためにあるものだが、医療の現場における作業の標準化にも資することが可能と言う。間葉系細胞を作成するにも、標準報告書があってよいようだ。ひとつのデータベースとして利用できるとのことだが、国の法律に基づくことより、その標準報告書の「重さ」はそれなりにあると予想される。
ウェブサイトより一部抜粋(http://www.jisc.go.jp/jis-act/ts-tr.html)
TS/TR制度について
本制度は、先端技術分野等の技術進歩の早い分野において、日本工業規格(JIS)として制定するには熟度の低いものについて、迅速かつ適切に標準情報(TS及びTR)として開示することにより、オープンな議論を推進し、コンセンサスの形成を促し、JIS化の促進を図るためのものです。 この制度は、ISO(国際標準化機構)のTS制度及びTR制度と同じ趣旨の制度です。
標準報告書(TR)
JISとは異なる種類の標準に関連する情報類(標準化関連情報、データ集など)として、これ自体はJISにはならないものの、標準化の推進に資するものとして公表される標準文書。 なお、標準報告書(TR)は、原則として発行後5年をもって廃止します。
Sunday, July 13, 2008
ゴジラの骨髄間質細胞
なんと、メカゴジラの伝達システムには、骨髄間質細胞のDNAを利用しているとのこと。正直言ってしまうと、何のことを言っているか不明ですが、それは兎も角、ゴジラ映画の中で骨髄間質細胞が使用されていることは嬉しい。わが研究所は、ゴジラの生まれ故郷の東宝スタジオ近くです。
Wikipediaからの一部引用(記述を短くするために、改変しています)。
機龍はゴジラ映画『ゴジラ×メカゴジラ』と『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』に登場する架空の兵器、ロボット。4代目メカゴジラ。劇中では開発者の娘が愛称として「メカゴジラ」と呼んだ。デザインは西川伸司。伝達システムにはDNAコンピュータが利用されている。このDNAコンピュータは当初、骨に残留していたゴジラの骨髄間質細胞を使用していたため、初陣ではゴジラと共鳴した事で暴走事故を引き起こし、戦場となった八景島周辺を壊滅させる大被害をもたらしてしまう。
Wikipediaの「間葉系幹細胞」の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%93%E8%91%89%E7%B3%BB%E5%B9%B9%E7%B4%B0%E8%83%9E
Wikipediaの上記サイトに、「間葉系幹細胞」の項が掲載された。電子顕微鏡写真も掲載されている。丁寧な記載であります。参考文献に拙著を記入していただき、誠にありがとうございます.
CPCの職場環境
日本炎症・再生医療医学会のシンポジウムで、自動培養装置に関するシンポジウムが開催された。その中で、CPC内部での職場環境についてのコメントがあった。CPCとは、Cell Processing Centerの略である。簡単に言えば、「寒い」とか「暑い」とか、「退屈である」、「不安になる」等々であった。足下が冷えるという意見もあった。早速、研究室に戻り、実際に最先端の現場で仕事をしている方々に尋ねてみた。「不満ある?」という愚問にもかかわらず、皆、建設的な意見を挙げてくれた。作業が適切に行われているかどうかの不安が一番であるようであった。実際には、SOPに従い、イアホンを通じて全て管理されているが、補佐する人も全てを把握して、作業工程をCPC内部で確認したいとのことであった。その他にも指摘があったが、全て改善可能なものであった。
CPC内部は、窓もなく、時計もなく、指示が外部から来るのみの隔離された空間であり、長時間の作業でのストレスは相当なものであろうと予想したが、実際は集中しているせいか、ストレスは作業が正確にもれなく行われているかどうかであった。実際には、作業が間違って行われる可能性は極めて低いが、当然の心配と思われた。
Sunday, July 6, 2008
今年もヤゴがトンボに
Saturday, July 5, 2008
遺伝子をあやつる不思議な仕組み DNAのメチル化(2008/7/5 OA)
幹細胞のメチル化に関する話を、NHK教育にて、佐々木裕之さんの番組の一部で話をさせてもらいました。内容は以下のサイトに書かれています。もう放送は終了したのですが、再放送があるそうです。自分が関連している分野ですので、当たり前ですが、すごく面白かったです。
遺伝子をあやつる不思議な仕組み DNAのメチル化(2008/7/5 OA)
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp216.html
追加です。サイエンスゼロでは、再生医療の番組が以前にあるようです。
http://blogs.yahoo.co.jp/under_the_shiny_sky/50518211.html