●起源を議論する上での留意点
骨髄由来の間葉系細胞はFriedensteinにより初めて報告され、骨髄由来の間質細胞・間葉系細胞はCFU-f(Colony-forming unit-fibroblasts)として定量するアッセイが開発された(Friedenstein AJ, Deriglasova UF, Kulagina NN, Panasuk AF, Rudakowa SF, Luri?? EA, Ruadkow IA. Precursors for fibroblasts in different populations of hematopoietic cells as detected by the in vitro colony assay method. Exp.Hematol. 2:83-92, 1974)。間葉系幹細胞の起源を議論する上で、気をつけなくてはいけない点として、間葉系幹細胞は本来は発生過程において生体内で存在している細胞であるが、実際の多くの報告は決して生体内における間葉系幹細胞を指しているわけではなく試験管内において適切な条件の元で増幅させた培養された間葉系幹細胞を指していることがあげられる(Pittenger MF, Mackay AM, Beck SC, Jaiswal RK, Douglas R, Mosca JD, Moorman MA, Simonetti DW, Craig S, Marshak DR.: Multilineage potential of adult human mesenchymal stem cells. Science 284: 143-147, 1999)。発生過程や生体内において間葉系幹細胞としての性質を有していなくとも、前述したような骨髄、臍帯血、臍帯、胎盤、月経血、子宮内膜、胎児、真皮、脂肪、末梢血に由来する培養皿に付着する形で増殖する細胞が生体外で増幅される過程で幹細胞性(多分化能と自己複製能)を獲得する可能性がある。近年、注目されている間葉系幹細胞を用いた再生医療においても、種々の組織を培養した後に行われており、一般的な組織再生とは異なり、同時に造血幹細胞とは概念的に異なるものである。
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