Monday, July 28, 2008

間葉系組織の発生


●間葉系組織の発生
間葉系細胞は、その起源が中胚葉であれ神経堤(外胚葉由来)であれ、胎児の結合組織を形成し、軟骨芽細胞、骨芽細胞など多様な細胞に分化できる能力をもつ。そもそも、間葉系幹細胞を含むと考えられている組織である骨、軟骨、脂肪といった組織のほとんどは中胚葉から体節を経て分化する(図1A)。骨は、大部分は中胚葉(沿軸中胚葉、側板中胚葉)に由来するが、頭部の一部の骨は外胚葉(神経堤)に由来する(図1 B, C)。すなわち、頭部の神経堤の細胞は、間葉に分化し、頭蓋骨の一部を作る。頭蓋は、脳をつつむ神経頭蓋と顔面頭蓋に分けられる。神経頭蓋はさらに膜性神経頭蓋と軟骨性神経頭蓋の2つに分けられる。膜性神経頭蓋は頭蓋冠となる部分であり、これらの骨は神経堤より発生する。一方、下垂体より前方の軟骨は神経堤由来で、それより後方の軟骨は沿軸中胚葉より発生する。顔面頭蓋の発生の面から見ると、第1 ・2 鰓弓内部の間葉組織が顔面頭蓋の形成に大きく関与する。この鰓弓内部の間葉組織は神経堤由来つまり外胚葉性であることが、大きな特徴である.神経堤細胞は、脊椎動物の胚発生において、神経板の陥入過程でその両縁に生ずる外胚葉由来の細胞集団で、自己再生能と多分化能を有する幹細胞としての性質を備えている。神経堤細胞の最も際だった特徴は、遊走によって胚に広く分布し、神経細胞やグリア細胞・皮膚色素細胞・副腎髄質細胞・顎顔面の間葉細胞(骨・軟骨など)・血管平滑筋細胞など実に多彩な細胞に分化する。こうした分化の運命は、発生する領域の位置情報とともに、遊走した先の細胞外環境によって決定されると考えられている。



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