Friday, July 25, 2008

質疑応答(改変済み)

・ 分化の方向で、子宮内膜だと心筋で、月経血だと筋肉で、組織のより決まっているのですか?
・ どちらも筋肉になりやすい。心筋になる場合には胎児心筋のフィーダ細胞を用いています。
・ 全ゲノムのメチル化を解除するような5-アザシチジンを細胞にかけると、月経血は骨格筋になります。心筋をフィーダにして、月経血に5-アザシチジンをかけると心筋になります。
・ 間葉系細胞は、間充織を生める細胞として十羽一絡げに間葉細胞と言われているが、上皮細胞と同じように組織により、その初期値が異なるということです。そして、この大きな差を際立たせるのに5-アザシチジンは有用です。
・ 癌でも、5-アザシチジンの脱メチル化する遺伝子に順番があることが分かってきました。エピジェネティク修飾が何処まで行われているかが色々あるということですね。

・ 再生医療は癌と比較すると今は小さいけれども、うまくいきだせば増えてくると考えていますか。
・ 再生医療は、癌のような蓄積型の病気には効果がありませんが、細胞、組織が壊れていく変性疾患には有用な治療法です。
・ 再生医療は、心臓疾患、糖尿病のような一般的な疾患でどのようになるかは、期待されているものの現時点ではどのように発展するかについては分かりません。

・ 壊れるということでは、機能が低下して壊れるというのと、細胞がいきなり壊れていくという2通りあると思いますが、機能が低下して壊れていくほうにエピジェネティクスが関係していると思います。

・ 環境で病気になりやすいヒトなりにくいヒトが、SNP等で調べられていますが、細胞の規格化にはどうでしょうか?
・ 細胞の規格化にはSNPはまったく無効だと思います。
・ 再生医療の規格化にはエピジェネティクスしかないということです。

・ 規格化に関しては、1点が癌で、すぐに実施しなければいけないのが、移植する細胞が骨になるかならないかを1日で決めるということですが、in vitroで細胞を取り扱っていると、正常でもないし癌でもないといったことが心配になりませんか?
・ とっても心配です。先ほどの5-アザシチジンでも心配です。自分で5-アザシチジンをかけておいて検証しろというのも変ですが、そういうことです。
・ かけるのにエピジェネティクスの修飾剤も欲しいし、同時にそれが安全であるとの保証をエピジェネティクスの解析から検証して欲しいわけです。

・ 先ほどのdystrophinの実験では月経血の10%の細胞で発現していますが、実際に治療に使用するとなると、どれくらいの細胞が必要になりますか?
・ 心筋と呼吸に関する筋肉が必要なのでかなりの量が必要になります。実際カナダでは両親の骨格筋を移植していますが、とても足りません。現在可能であろうと考えているのが、月経血、胎盤のバンクか、ユニバーサルセルであるESか、iPS、精子から取ってくる細胞になるのではないかと考えています。言い換えると死ぬべき細胞であるが大量にあるもの、または、不死の細胞ということになります。
・ 女性は助かりますよね?
・ そうです。そして女性の細胞を用いて子供も救えるというわけです。
・ 今までメディカルウエイストといわれていた月経血、胎盤をきちっとした規格でバンク化する必要があるということです。

・ 再生医療的に分化するか、しないか色々やってみて調べていくアポローチと、エピジェネティクスを調べて、こうすれば分化するはずだというアプローチとどちらが有効と考えますか?
・ どちらも有効だと考えます。後のほうはやったことがありません。実際にやってみてうまくいくかどうか研究しているのが再生医療の研究者です。

・ iPS細胞のエピジェネティクスも研究したほうがよいと考えますか?
・エピジェネティクスを次世代シークエンサーにより、全塩基配列を決めることは意義があると思います。


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